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Channel: 私が好きな曲(クラシック音楽のたのしみ)
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シェーンベルク 浄められた夜(弦楽六重奏版)の名盤

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(弦楽合奏版からの続きです)

シェーンベルクの「浄められた夜(浄夜)」は、豊麗な響きの弦楽合奏版も大好きですが、シェーンベルクの作曲技法の妙を味わうには、各パートの動きが明快な弦楽六重奏版がお薦めです。名の通ったクァルテット+α(ヴィオラとチェロ)による演奏であれば、どれも良い演奏で、あまり神経質にCDを選ばなくても良い曲と考えますが、簡単に手持ちの4枚の感想を書きます。


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シェーンベルク:浄夜 作品4(弦楽六重奏版)
ラサール四重奏団
ワルター・レヴィン
ヘンリー・メイヤー
ピーター・カムニツァー
ジャック・キルステイン
ドナルド・マキネス
ジョナサン・ペギス
1982年11月、12月 ハンブルク

ラサール四重奏団は、1968年から1970年にかけて「新ウィーン楽派の弦楽四重奏曲」というアルバムをDeutsche Grammophonに録音しています。シェーンベルク、ヴェーベルン、アルバン・ベルク、ツェムリンスキー、アポステルの作品をまとめて聴くことができるという重宝なもので、レコード・アカデミー大賞を受賞した名盤です。「浄夜」は弦楽六重奏曲なので、そこには含まれていませんし、録音時期もずっと後なのですが、弦楽六重奏版の名盤とされています。
実際、どうかというと、これは疑いなく名盤でしょう。「技術的精度も表情も古めかしくなっている」と書かれたこともあり、後にご紹介するCDの技術の高さや、旋律の歌わせ方などに古さを感じることもありますが、楽曲に対する奉仕度や、弦楽六重奏の特徴をこれほど活かした演奏はありません。1943年の弦楽合奏版改訂第2版には正確なテンポとメトロノームが支持されて、強弱の表記もさらに細かく書かれているそうですが、このCDはそれに基づいているのだそうです。この演奏で私がまず最初に関心したのはテンポ感であり、各声部を容易に聴きとれる楽器配置の考慮だったのですが、演奏者のこだわりに頭が下がります。
そうは言っても、初めて購入するのであれば、他のCDのほうがわかりやすいとも言えます。ラサールQ他によるこのCDは、弦楽六重奏を意識しすぎているというか、曲の複雑さが目立ってしまい、難しく聴こえてしまうと思います。他のCDを聴いた後であれば、目から鱗なのですが。



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シェーンベルク:浄夜 作品4(弦楽六重奏版(1899))
カルミナ四重奏団
マティ-アス・エンデルレ
スザンヌ・フランク
ウェンディ・チャンプニー
シュテファン・ゲルナー
ノーラ・チャステイン
トーマス・グロッセンバッハー
2000年5月26-28日
スイス,ラ・ショー・ド・フォン,ムジカ・テアトル

これは良い演奏です。実に表情が細やかで、豊かな表現です。アンサンブルも美しく、お薦めです。
なお、このCDにはインデックスが付いているのですが、うちのプレーヤー(というか、今どきのCDプレーヤー)には、インデックス・サーチが付いていないので、活用することができません。ブックレットによると、
ソナタ形式I ①導入部、②提示部第1主題、③第2主題、④展開部第1部、⑤第2部、⑥小結尾、⑦導入部の再現、
ソナタ形式II ⑧提示部第1主題、⑨第2主題、⑩小結尾、⑪展開部第1部、⑫第2部、⑬再現部、⑭結尾
なのだとか。2部構成のソナタ形式と捉えるのは、ひとつの考え方です。形式が曖昧なのが「浄夜」の特徴ですから。



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シェーンベルク:浄夜 作品4(弦楽六重奏版)
アルテミス四重奏団
ナターリア・プリシェぺンコ
ハイメ・ミュラー
フォルカー・ヤコブセン
エッカート・ルンゲ
トーマス・カクシュカ
ヴァレンティン・エルベン

2002年12月 ケルン,WDRビスマルクホール

これも素敵な演奏です。個々の技術が優れており、それが遺憾なく発揮されている、美しい演奏です。師匠であるアルバン・ベルク四重奏団のトーマス・カクシュカとヴァレンティン・エルベンが参加している万全を期した演奏です。今回の聴き比べでは、美麗なこの演奏が弦楽六重奏版では最も良いと思ったのですが、三巡目では何か物足りなさを覚えるようになってしまいました。
なお、アルテミスQは1989年に結成されましたが、この録音時と現在とで共通しているメンバーは、チェロのエッカート・ルンゲだけです。メンバーの入れ替わりが多いクァルテットのようです。アルテミスQの代表的な録音に、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集がありますが、6年間のメンバーの変遷を見ることができます。



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シェーンベルク:浄夜 作品4(弦楽六重奏版)
エマーソン弦楽四重奏団
ユージーン・ドラッカー
フィリップ・セッツァー
ローレンス・ダットン
デイヴィッド・フィンケル
ポール・ニューバウアー
コリン・カー

2012年9月 ニューヨーク,クイーンズ大学,ラフラック・ホール

実にしっかりした、地に足の着いた演奏です。最初に聴いたときには、真面目過ぎて物足りなさを感じましたが、いろいろ繰り返し聴いているうちに、この演奏が一番しっくりくると思いました。何度聴いても飽きの来ない演奏と言うことができるでしょう。今のところ、弦楽六重奏版では、このCDを聴くことが多くなっています。


Verklärte Nacht.

Zwei Menschen gehn durch kahlen, kalten Hain;
der Mond läuft mit, sie schaun hinein.
Der Mond läuft über hohe Eichen,
kein Wölkchen trübt das Himmelslicht,
in das die schwarzen Zacken reichen.
Die Stimme eines Weibes spricht:

Ich trag ein Kind, und nit von dir,
ich geh in Sünde neben dir.
Ich hab mich schwer an mir vergangen;
ich glaubte nicht mehr an ein Glück
und hatte doch ein schwer Verlangen
nach Lebensfrucht, nach Mutterglück
und Pflicht – da hab ich mich erfrecht,
da ließ ich schaudernd mein Geschlecht
von einem fremden Mann umfangen
und hab mich noch dafür gesegnet.
Nun hat das Leben sich gerächt,
nun bin ich dir, o dir begegnet.

Sie geht mit ungelenkem Schritt,
sie schaut empor, der Mond läuft mit;
ihr dunkler Blick ertrinkt in Licht.
Die Stimme eines Mannes spricht:

Das Kind, das du empfangen hast,
sei deiner Seele keine Last,
o sieh, wie klar das Weltall schimmert!
Es ist ein Glanz um Alles her,
du treibst mit mir auf kaltem Meer,
doch eine eigne Wärme flimmert
von dir in mich, von mir in dich;
die wird das fremde Kind verklären,
du wirst es mir, von mir gebären,
du hast den Glanz in mich gebracht,
du hast mich selbst zum Kind gemacht.

Er faßt sie um die starken Hüften,
ihr Atem mischt sich in den Lüften,
zwei Menschen gehn durch hohe, helle Nacht.
Du wirst es mir, von mir gebären;
Du hast den Glanz in mich gebracht,
Du hast mich selbst zum Kind gemacht.
Er faßt sie um die starken Hüften.
Ihr Atem küßt sich in den Lüften.
Zwei Menschen gehn durch hohe, helle Nacht.



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