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モーツァルト 弦楽五重奏曲第3番ハ長調 K.515 の名盤

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ある人(浅里公三氏)が書いていましたが、K.515とK.516はモーツァルトの室内楽曲の最高傑作なのだそうです。ということは、あらゆる室内楽曲の最高峰ということでしょうか。

弦楽四重奏曲と弦楽五重奏曲は何が違うかというと、楽器の数が違います。弦楽四重奏曲は、ヴァイオリン×2、ヴィオラ×1、チェロ×1です。

弦楽五重奏曲は、モーツァルト、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブラームスは、ヴァイオリン×2、ヴィオラ×2、チェロ×1です。第1ヴィオラと第2ヴィオラがあります。

ただし、シューベルトは、ヴァイオリン×2、ヴィオラ×1、チェロ×2で、第1チェロと第2チェロがあります。

ボッケリーニには、ヴァイオリン×2、ヴィオラ×2、チェロ×1のパターンが110曲、ヴァイオリン×2、ヴィオラ×1、チェロ×2のパターンが12曲あるそうです。すごい数!

変わっているのは、ドヴォルザークの第2番ト長調作品77で、なんと、ヴァイオリン×2、ヴィオラ×1、チェロ×1、コントラバス×1です。さすがドヴォルザークです。

なお、今回は「疾走する悲しみ(by小林秀雄)」ではなく、お正月らしいほうの曲を選びました。

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
弦楽五重奏曲第3番 ハ長調 K.515

第1楽章 Allegro ハ長調、4分の4拍子 ソナタ形式
第2楽章 Andante ヘ長調、4分の3拍子 ソナタ形式
第3楽章 Menuetto. Allegretto ハ長調 4分の3拍子 複合三部形式
第4楽章 Allegro ハ長調 4分の2拍子 ロンド風のソナタ形式

※初版は第2楽章と第3楽章が逆だったそうで、そのように演奏している録音も多いです。どちらでも素晴らしい音楽には違いありませんが、私は第2楽章がアンダンテの方が好みです。

Mozart: String Quintet No. 3
Barylli Quartet (1953) 
(CMが入りますが、名演なのでご紹介します)

Wolfgang Amadeus Mozart, quintet for strings in C-major KV 515
Ensemble 415
(ピリオド・スタイルの演奏です)


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弦楽五重奏曲第3番ハ長調 K.515 
ブダペスト弦楽四重奏団
ヨセフ・ロイスマン
エドガー・オルテンベルク
ボリス・クロイト
ミシャ・シュナイダー
ミルトン・カティムス(第2va)
1945年2月6日,4月23日 ニュー・ヨーク,Liederkranz hall

名前がブダペスト(ハンガリーの首都)なのに、メンバーはロシア人というブダペスト四重奏団。Wikipediaで紹介されていたエピソードが面白かったのでコピペします。
「ロシア人が1人いたら何者だろう?そいつは無政府主義者だ。2人いたら?チェスの試合だ。3人いたら?共産主義グループだ。それではロシア人が4人いたら?それはブダペスト四重奏団だ。」
1966年のステレオ録音を購入したつもりが、よく見たら1945年のモノラル録音であったという悲しいCD。いや、もしかしたらこのモノラル録音のほうが優れた演奏であるかもしれない。メンバーだってまだ若いのだし。
モノラルという録音の不利がありますが、演奏は良いと思います。ただ、どうしてもこれを選ばなければならないというものも無くて、やっぱり1966年のステレオ録音を選びたいところです。



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モーツァルト:弦楽五重奏曲第3番ハ長調 K.515
バリリ四重奏団
ワルター・バリリ
オットー・シュトラッサー
ルドルフ・シュトレンク,ヴィオラ
リヒャルト・クロチャック,チェロ
ヴィルヘルム・ヒューブナー(第2va)
1953年5月 ウィーン,モーツァルト・ザール

ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲という取っつき難い世界に挑戦していた頃、重宝していたのはバリリQによる録音でした。私にとってすごくわかりやすい演奏だったので、曲を好きになることができました。「歌」に溢れ、「音色」が魅惑的、「優美」であると同時に「繊細さ」と「力強さ」も兼ねそなた理想の弦楽四重奏団でした。このクァルテットが奏でるベートーヴェンは、本当に素晴らしかったのです。
さて、バリリQのモーツァルトですが、やっぱり素晴らしいですね。すごく、のんびりしたテンポで始まります。田舎っぽいですが、何とも言えない懐かしさ、人懐っこさがあって、ほんわかとした雰囲気に癒されます。第1ヴァイオリンのバリリの艶やかな音色が美しいです。なお、第1楽章はこのえ演奏で15分30秒かかりますが、後述のラルキブデッリは11分27秒です。この演奏も第2楽章はメヌエットのパターンです。以下、モーツァルトを聴く喜びを与えてくれる名演といえます。
録音はこれもモノラルですが、Westminsterの録音なので聴きやすいです。



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モーツァルト:弦楽五重奏曲第3番ハ長調 K.515
アマデウス弦楽四重奏団
ノーバート・ブレイニン
ジークムント・ニッセル
ペーター・シドロフ
マーティン・ロヴェット
セシル・アロノヴィッツ(第2va)
1967年5月 ベルリン

これはスメタナQ+スークのCDと同じくらいお気に入りの演奏だったのです。アマデウスSQ+アロノヴィッツ盤のほうがテンポが速くて若々しく、より曲にふさわしいと思いました。音色はくすんだ感じ、いぶし銀的音色ですが、厚みのあるアンサンブルは安定感がありますね。そう、良い演奏、素晴らしい演奏ではあるのですが、もう一つ何かがほしいです。でも、美しい演奏。アンダンテ楽章なんて本当にきれい。出て来る音が美しいのだけれど、演奏者がモーツァルトの音楽を慈しんで演奏しているのがよくわかる演奏です。



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モーツァルト:弦楽五重奏曲第3番ハ長調 K.515
アルテュール・グリュミオー
アルパド・ゲレツ
ジョルジュ・ヤンツェル
マックス・ルズール
エヴァ・ツァコ
1973年5月 スイス,ラ・ショー=ド=フォン

ディヴェルティメントK.563のときは、これもありだと思ったのですが、弦楽五重奏だとさすがに疑問を感じます。つまり、グリュミオー+その他4名の演奏で、4名はグリュミオーに遠慮しているというか、引き立て役に回っていて、控えめに演奏しているように聴こえます。逆に、グリュミオーの第1ヴァイオリンが常に目立っているわけで、曲もそのようには書かれているのですが、あまりにもグリュミオー、目立ちすぎじゃないの?とも思います。とはいえ、巧いことは巧いので、一聴の価値はあります。グリュミオーはモーツァルトが好きなのでしょうね。



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モーツァルト:弦楽五重奏曲第3番ハ長調 K.515
スメタナ四重奏団
イルジー・ノヴァーク
リュボミール・コステツキー
ミラン・シュカンバ
アントニーン・コホウト
ヨゼフ・スーク(第1va)

1976年6月7~10日 プラハ,スプラフォン・ジシコフ・スタジオ

これは良い演奏だと思います。弦楽五重奏とはかくあるべしといった感じです。すごく端正で丁寧、美しい演奏。よい意味でのお手本的、模範的な演奏です。名ヴァイオリニストのヨゼフ・スークが第1ヴィオラを弾いているのもポイントが高く、実に美しいヴィオラです。
私が初めて買った K,515はこのCDで、あまりに立派な演奏だったから、しばらくはこれ1枚でいいやと思ったくらいです。でもこうやって、他のCDと聴き比べてみると、もう一味、何かあってもいいような気もします。安全運転過ぎるのかもしれません。1977年度レコード・アカデミー賞受賞の名盤です。



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モーツァルト:弦楽五重奏曲第3番ハ長調 K.515
グァルネリ四重奏団(グヮルネリ四重奏団)
アーノルド・シュタインハート
ジョン・ダレイ
マイケル・トゥリー
デヴィッド・ソイヤー
アイダ・カヴァフィアン(va)

1984年10月26日 ニューヨーク.メトロポリタン美術館(ライヴ)

グァルネリ四重奏団は、1964年に結成された弦楽四重奏団で。メリーランド大学カレッジパーク校の付属弦楽四重奏団として活動してきました。弦楽四重奏団としての活動は2009年に終えているようです。
このK.515、いささか地味ではありますが、内容がぎっしり詰まっていて滋味がありますよ。第1ヴァイオリンがスター・プレーヤ^でないのが好ましく、5人のアンサンブルが楽しめる演奏です。私は好きです。
なお、この弦楽五重奏曲全集は、3人のヴィオラ奏者を迎え、曲によって変えています。その3人とは、アイダ・カヴァフィアン、スティーヴ・テーネンボム、キム・カシュカシアンなのですが、私の好きなカシュカシアンは、第2番K.406と第6番K.614で、残念ながらK.515とK,515は弾いていません。ちょっとがっかり。



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モーツァルト;弦楽五重奏曲第3番ハ長調K.515
メロス四重奏団
ヴィルヘルム・メルヒャー
ゲルハルト・フォス
ヘルマン・フォス
ペーター・ブック
フランツ・バイアー(第2va)
1986年7月 バンベルク,ツェントラルザール

高性能なモーツァルト。だいぶ以前に、メロスQによるモーツァルトの弦楽四重奏曲を買って、自分の好みとは違うと感じて手放してしまったのですが、これは良い演奏です。すっきりくっきりキリっとしていて現代的、スイスイ曲が進んでいきます。これはこれでいいのかもしれない。これも第2楽章がメヌエットのパターン。第3楽章は意外にゆったりしたテンポでよく歌います。第4楽章はやや早めのテンポ。全体にすごく完成度の高い演奏(ピカイチ)で、洗練された美しさがあり、ケチの付けようがないのですが、幾分面白味に欠けるかもしれません。これを聴き終わったらもう一度繰り返し聴きたいとは思わず、今度は別のCDを聴いてみたくなるかも。



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モーツァルト;弦楽五重奏曲第3番ハ長調K.515
アルバン・ベルク四重奏団
ギュンター・ピヒラー
ゲルハルト・シュルツ
トマス・カクシュカ
ヴァレンティン・エルベン
マルクス・ヴォルフ(第2va)
1986年7月 CH-Seon,Evangelische Kirche

メロスQの演奏を非常に完成度が高いと書きましたが、この演奏もそうです。一枚も二枚も上手かもしれません。メロスQとどこが違うかというと、それは微妙なところであり、しかし、それが大きいのです。アルバン・ベルクQがナンバーワン・クァルテットであった理由がそこにあります。と、偉そうなことを書いて実はよくわかっていないのですが、「呼吸」ですよね。アゴーギクと呼べばよいのでしょうか。ひとつひとつの楽句での微妙な速度変化、強弱法という仕草に心をくすぐられます。あと、音色。アルバン・ベルクQは、ウィーン国立音楽大学の教授達が結成した団体ですが、だからなのでしょうか、ウィーン・フィルに似た美しさがあります。アルバン・ベルクQ全盛期の録音であり、やっぱり名盤だと思います。バリリQの現代版。決定盤といってよいと思います。



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モーツァルト:弦楽五重奏曲第3番ハ長調 K.515
ラルキブデッリ
ヴェラ・ベス
ルシー・ファン・ダール
ヘイス・ベス
ユルゲン‎・クスマウル
アンナー・ビルスマ
1994年6月28日-7月1日 オーストリア,alte reitschule schloss grafenegg

ラルキブデッリが録音した曲は、いずれも評論家が高い点数を付けています。K,515やK,516も例外ではありません。念のため、名曲名盤500を調べたところ、どちらも第1位でした。そんなに良い演奏でしょうか。ブラームスの弦楽六重奏曲もラルキブデッリが1位なのです。
第1楽章は速いテンポ。バリリQの倍ぐらいのスピードに聴こえます。1回目の試聴と装置を変えたので印象が変わりました。これはこれで良い演奏ではないかと。ピリオド楽器の響きが美しいです。でもやっぱり速すぎるかな。車の運転中に聴くのだったらよいかもしれません。
第2楽章はメヌエットのパターン。これもちょっと速いけど、この楽章では効果的です。チャーミングな演奏。第3楽章はこれぐらいのほうがもたれなくて良いと感じます。第1ヴァイオリンと第1ヴィオラの掛け合いもバランス良好で、この団体は各奏者の水準が高く、本当に巧いですね。第4楽章もやっぱり速いです。全体としてラルキブデッリは古楽古楽していないのに好感がもてます。速さが癖になりそうな演奏でした。



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モーツァルト:弦楽五重奏曲第3番ハ長調 K.515
クイケン弦楽四重奏団
シギスヴァルト.クイケン
フランソワ・フェルナンデス
寺神戸亮
マルレーン・ティアーズ
ヴィーラント・クイケン
1995年6月5-7日 オランダ,ナイメヘン,コンセルトヘボウ

同じピリオド・スタイルでもクイケンSQは、普通のテンポ。これもあまりピリオドアプローチを意識させないところが良いです。現代楽器による演奏との違いは楽器の違いだけで、もはや好みで判断するしかないのですが、このような演奏であれば、別にピリオド楽器を使用しなくてもよいのではないかと思ったりもします。モーツァルトをピリオド楽器で聴いてみたいという人にはお薦めですが、第1楽章は品が良すぎるというか、もう少しはじめたところがあってもよいような気がします。第2楽章はメヌエットがくるパターンですが、これは
文句なしです。曲の性格にピタリと合った演奏。第3楽章のしっとりとした美しさ、第4楽章はなかなか楽しい演奏です。これぐらい各楽器が自己主張してくれないと弦楽五重奏曲は面白くないです。



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モーツァルト:弦楽五重奏曲第3番ハ長調 K.515
ルノー・カプソン
アリーナ・イブラギモヴァ
ジェラール・コセ
レア・エニノ
クレメンス・ハーゲン
2014年1月29,30日(ライヴ) ザルツブルク,モーツァルテウム大ホール

新しい録音もご紹介しようと思ったので、これです。モーツァルトの弦楽五重奏曲全6曲を2枚のDVDに収めたもの(Blu-ray Discだったらなお良かったのに!)。
この演奏は、モーツアルトの誕生日1月27日に合わせてザルツブルクで開催される音楽祭「モーツアルト週間」でのライヴ収録だそうです。
何といっても演奏者が素晴らしい顔ぶれです。
第1ヴァイオリンがルノー・カピュソン、第2ヴァイオリンがアリーナ・イブラギモヴァ(もったいない!)、第1ヴィオラがジェラール・コセ、第2ヴィオラがレア・エニノ、そしてハーゲン四重奏団のチェリストであるクレメンス・ハーゲン。
しかし、第2ヴィオラのレア・エニノという女性は知りませんでした。検索してもこのDVDしかヒットしないです。売り出し中の若手なのでしょうか。ヴェロニカ・ハーゲン姐さんだったら嬉しかったのに。でも、レア・エニノ、名手達に交じって必死に弾いている姿が心を打ちます。ファンになりそう。、
しかし、こうやって弦楽五重奏曲を順に聴いていくと、他の曲も良い曲ではるのですが、K.515とK.516が抜きん出だ名曲だとわかります。
このメンバーですから演奏は素晴らしいに決まっています。ソリストとしても、室内楽演奏家としても長けた人達ですので、非の打ちどころのない演奏です。



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