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Channel: 私が好きな曲(クラシック音楽のたのしみ)
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ガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」の名盤

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2週間ぶりでしょうか。先週も記事を書くには書いたのですが,気に入らなくてボツにしました。ブログをやる気が失せてきた今日この頃。自分のホームページをつくるのが面倒だったのでブログを始めたのですが,最近は発信の手段っていろいろあるじゃないですか。TwitterとかFacebookとか。ブログにするほどのこともない落書きみたいな文章はTwitterで十分と考えました。でもね,なんかイマイチなんですよ。Twitterは情報を得るためのツールと割り切ったほうがいいみたい。FacebookTwitterのデカイやつという感じかな。Facebookは凝った記事を書くのには向いていないので,やっぱりブログしかない? ちなみに私が記事をひとつ書くのにどれだけ時間がかかっていると思います? ざっと十数時間です。コメントの返事を書く時間も入れると大変な時間です。何が言いたいか,わかる人はわかりますよね? そういえば先日,知人が熱心に勧めるのでスマートフォンにLINEをインストールしました。これはハマりました。普通のメールでもいいんですけれど,LINEのトーク(テキストチャット機能)のほうが話が弾みます。なぜだろう? そんなわけで,今後私への連絡はLINEでお願いします!

さて「ラプソディ・イン・ブルー」ですが,作曲者の名前で躓きました。「ガーシュイン」と「ガーシュウィン」,どちらが一般的でしたっけ? 「ガーシュイン」じゃなかった?

どちらで検索しても約774,000件ヒットしますが,7月に記事を書いたL氏も含め,世の中「ガーシュウィン」のほうが多いみたいです。長い物には巻かれたい私ですので,以下「ガーシュウィン」にします。

ラプソディ・イン・ブルー」は,書くのが難しいです。なお,演奏時間を記していますが,これはあくまでご参考。演奏時間が短い=テンポが速い,じゃないです。念のために書いておきます。

ジョージ・ガーシュウィン(George Gershwin)作曲
ファーディ・グローフェ(Ferde Grofe)編曲
ラプソディ・イン・ブルー(Rhapsody in Blue)

Gershwin: Rhapsody in Blue
hr-Sinfonieorchester
Fazil Say, Klavier
Carlos Miguel Prieto, Dirigent
(参考演奏としてご紹介するには個性的過ぎましたね。)


イメージ 1
アール・ワイルド(ピアノ)
パスクワーレ・カルディルロ(cl)
アーサー・フィードラー(指揮)
ボストン・ポップス
RCA 1959年5月

16分21秒。アール・ワイルドというピアニスト,よく知らないのですが,ウィキペディアによると「1942年にトスカニーニに招かれ、ガーシュウィンの《ラプソディー・イン・ブルー》によってオーケストラと初共演を行い、大々的な成功を収め、名声を確かなものにした」のだそうですね。彼にとって因縁のある曲ですが,なるほどと思わせる見事なピアノです。名人って感じの素敵な味わいのあるピアノ。オーケストラもポップスという名称だけあってノリがよいです。腰軽ではなく充実したサウンドを聴かせてくれるのがありがたいですね。録り方が古い(音質はよい)せいで,演奏も若干古臭さを感じさせないでもないですが,それがよいのです。古き良き時代,懐かしさを覚えます。こういう演奏が好きです。


イメージ 2
レナード・バーンスタイン(ピアノ)
レナード・バーンスタイン(指揮)
コロンビア交響楽団
SONY CLASSICAL 1959年6月

16分31秒。名盤の誉れ高い1枚。実は苦手な演奏でした。重たい演奏に感じられたのです。ピアノもオーケストラも立派過ぎるように感じ。リズム感覚の良さを称える評論家が多いけれど,そうなの?って思っていました。今回改めて聴いてみてのですが,やっぱり立派な演奏でした。この曲はクラシック音楽であるということを実感します。繰り返して聴いているうちに,バーンスタインのピアノの抒情的な,詩的な美しさに打たれました。大変ドラマティックでもあります。他と比べると異色ですが,古さを超えて語りかけてくるものがある説得力がありました。なお,ロサンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団との1982年3月(Deutsche Grammophon)録音は未聴です。


イメージ 3
アンドレ・プレヴィン(ピアノ)
ジェルヴァーズ・ド・ペイエ(cl)
アンドレ・プレヴィン(指揮)
ロンドン交響楽団
EMI CLASSICS 1971年6月

14分42秒。プレヴィンのCDはあまり持っていないです。この曲はプレヴィンじゃなきゃって思うものが少ないんです。メンデルゾーンの「真夏の夜の夢」(ロンドン響とのほう)は良かったですが……。しかし,この「ラプソディ・イン・ブルー」は素晴らしいです。このCDが一番好きかも? ここまでの3枚でこの曲の聴き比べは終わりにしてもよいです。若い頃に天才ジャズ・ピアニストと呼ばれただけあって,プレヴィンのピアノが最も「らしく」聴こえます。そしてとても美しい。とても生き生きとして,こんなにピアノが魅力的な演奏は他にないと思います。オーケストラ共々,ちょっとどっしりし過ぎているかもしれませんが,ピアノ協奏曲的な演奏ではこれが一番と思います。本当に素晴らしい!


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アンドレ・プレヴィン(ピアノ)
アンドレ・プレヴィン(指揮)
ピッツバーグ交響楽団
PHILIPS(今はDECCA)1984年

14分01秒。一般にはロンドン響との旧録音よりこっちのほうが評価が高いのです。それはわかるような気もするのですが,うーん,私は旧録音のほうが好きだな。こちらのほうが美しいんですよ。よくこなれているというか,洗練されているというか,録音も優秀な感じがしますし。コンサートホールの良い席で聴いているような録音で,残響も豊か。でも,それが物足りない。ベールを被せているような録音なんです。旧録音のほうがピアノが生々しくて直接的に伝わるものがあります。この演奏だけ聴けばこれはこれでよいですけれど,ロンドン響のほうが私の好みです。好きなんだからしかたがない。


マイケル・ティルソン・トーマスは,縁が深いガーシュウインを大事にしている指揮者です。3種類の録音がありますので,それらを聴いてみます。

イメージ 5
ジョージ・ガーシュウィン
(1925年製ピアノ・ロール)
チャールス・ルッソ(cl)
マイケル・ティルソン・トーマス(指揮)
コロンビア・ジャズ・バンド
SONY CLASSICAL 1976年6月

13分46秒。「ラプソディ・イン・ブルー」が初演されたのは1924年ですが,その翌年に作曲者が残したピアノ・ロールに合わせ,オリジナル・ジャズ・バンド・スコアを捜し出して用いたという超こだわりの1枚。ガーシュウィンのピアノ・ロールはソロだけでなくオーケストラ部分も演奏してしまっているので,オーケストラ部分の穴をすべて埋め,ソロだけを演奏するように苦労して加工したのだそうです。向こうからはけして合わせてくれないピアノ・ロールと演奏するのはすごく大変だったのではないでしょうか。ガーシュウインのピアノを想像させてくれる貴重な演奏です。素晴らしいピアノだったのでしょう。脳内補完して聴けば,この曲の最高のピアノです。奥歯に物が挟まったような書き方をしていますが,ピアノとオーケストラ(バンド)に温度差を感じるのです。バンドの演奏はとても素晴らしいのですが,ピアノが同じ空気を吸っていないので違和感を覚えるのでしょう。録音は大変優秀です。併録の「パリのアメリカ人」がまた素晴らしい。


イメージ 6
マイケル・ティルソン・トーマス(ピアノ)
ロリン・リーヴィー(cl)
マイケル・ティルソン・トーマス(指揮)
ロスアンジェルス・フィルハーモニック
SONY CLASSICAL 1982年2・10月

15分50秒。「今回の録音は,1924年の初演当時のオリジナル・スコアを細部に至るまで忠実に復元したもの」だそうで,「ガーシュウイン自身の演奏を手本にしたもの」であり,「初演に立ち会った人たちの助言や意見を参考にしている」のだそうです。今回もこだわっていますね。前回はピアノに違和感を覚えましたが,今回はMTT自らのピアノですからその点は大丈夫。理想とする「ラプソディ・イン・ブルー」を演奏するにあたり,他のピアニストの起用なんて考えられないのでしょうね。実際,今回聴いた中では最も巧いピアノだと思います。ガーシュウィンの完璧な再現を目指したピアノ。ただ,不思議なことにこの演奏,聴いているうちについつい他のことを考えてしまうのです。完璧過ぎて親近感が湧かないのか,ちょっと求心力が少なめ。録音は今回も優秀です。


イメージ 7
マイケル・ティルソン・トーマス(ピアノ)
ジェローム・シマス(cl)
マイケル・ティルソン・トーマス(指揮)
ニュー・ワールド交響楽団
RCA 1997年1月

17分26秒。三たび「オリジナル・ジャズバンド版」で「初演時にホワイトマン楽団が演奏した版」だそうです。確かに前2枚はいずれも優秀録音でしたが,今回はさらに「ラプソディ・イン・ブルー」のすべてを聴かせちゃいますとでもいうような録音。普段は聴こえにくい楽器もこのCDではバッチリ聴こえます。こういうのを聴いていると,「ラプソディ・イン・ブルー」はジャズ・バンド版に限ると言いたくなります。元々不思議な構成の曲なのですが,ジャズ・バンド版のほうがすんなり聴けてしまうのです。前回は少しよそ行きの顔を見せていたピアノですが,今回は本来のMTTを取り戻したみたい。マイケル・ティルソン・トーマスによる「ラプソディ・イン・ブルー」を聴くならこのCDが一番完成度が高と思います。もう一回聴き直したら感想が変わるかもしれませんが,たぶんこれでOKです。


ところで,今年9月6日(金)のサイトウ・キネン・フェスティバル松本Gig(キッセイ文化ホール)で「ラプソディ・イン・ブルー」が演奏されましたよね。テレビでご覧になった方も多いと思います。

イメージ 8

大西順子(ピアノ)
小澤征爾(指 揮)
サイトウ・キネン・オーケストラ
2013年9月6日
キッセイ文化ホール
(長野県松本文化会館)

演奏についてどうのこうの書いてもしょうがない,とにかくハラハラドキドキの大変楽しい演奏でした。大西順子がこう弾きたい,小澤征爾がそれじゃ合わせられないとか言い合ってるシーンから始まり,オーケストラとのリハーサルもなんかギクシャクしていて不安になります。本番直前,めちゃくちゃ緊張している大西順子が可愛らしい。終演後,あそこさえ弾けていたら80点だったのに!と残念がる彼女を見て,音楽をするのっていいなぁとつくづく思いました。

なぜSKOと大西順子が"ラプソディー・イン・ブルー"をやるのか
小澤征爾×村上春樹×大西順子


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