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Channel: 私が好きな曲(クラシック音楽のたのしみ)
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ワーグナー「タンホイザー」の名盤

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「さまよえるオランダ人」で復帰したものの、どうもあの記事はよろしくなかったなとちょっぴり後悔しております。かといって今から全部聴き直す時間と気力はないので、今回も同じ調子で書きます。そんなわけで、

リヒャルト・ワーグナー 歌劇「タンホイザーとヴァルトブルクの歌合戦」

親しみやすい旋律に満ちた聴きやすいオペラだと思いますが、1曲あげるとしたらワーグナー屈指の名アリア「夕星の歌(優しい夕星よ)」でしょうか。オペラなんて「カルメン」ぐらいしか知らない中学生の頃の私でもこの歌は知っていました。このアリアは主役のタンホイザーではなく、彼の友人であるヴォルフラム(バリトン)によって歌われます。ちなみにタンホイザーはオペラの中ではハインリヒと呼ばれていますが、フルネームはハインリヒ・タンホイザーというのでしょうか。劇中もう一人ハインリヒという人物が登場しますが、これは端役です。紛らわしい。


イメージ 1

ジュゼッペ・シノーポリ指揮
フィルハーモニア管弦楽団
コヴェントガーデン王立歌劇場合唱団
1988年の録音

タンホイザー:プラシド・ドミンゴ
エリーザベト:シェリル・ステューダー
ヴェーヌス:アグネス・バルツァ
ヴォルフラム:アンドレアス・シュミット
領主ヘルマン:マッティ・サルミネン
牧童:バーバラ・ボニー

この「タンホイザー」は素晴らしいと思いました。ドミンゴのタンホイザーには賛否があるみたいですが、元々タンホイザーは異質な人なのでこれはこれで良いかも。フィルハーモニア管の美しい響きにも魅了されました。と、3年前は思ったのですが、今回聴き返してみたら、全体にこじんまりとした印象で、少々物足りなさを感じました。合唱が遠くに聴こえるからでしょうか。


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フランツ・コンヴィチュニー指揮
シュターツカペレ・ベルリン
ベルリン国立歌劇場合唱団
1960年の録音

タンホイザー:ハンス・ホップ
エリーザベト:エリーザベト・グリュンマー
ヴォルフラム:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ
ヴェーヌス:マリアンネ・シェヒ
領主ヘルマン:ゴットロープ・フリック
ヴァルター:フリッツ・ヴンダーリヒ

「さまよえるオランダ人」がとても良かったので期待しましたが、う~ん、ちょっと物足りないかも。歌手では発声が少し古臭いけれどグリュンマーのエリーザベトが悲劇のヒロインっぽくっていいですね。このCD一番の聴きものであるディースカウのヴォルフラムは名唱と思いますが、「夕星の歌」などあまりに巧過ぎて違和感がないでもないです。地味だけれど懐かしい響きのするオケでしたが、合唱はアマチュアっぽい? この時代はこんなものなのでしょうか。


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ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮
バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団
(合唱指揮:ヴィルヘルム・ピッツ)
1962年のライヴ録音

タンホイザー:ヴォルフガング・ヴントガッセン
エリーザベト:アニヤ・シリヤ
ヴォルフラム:エーベルハルト・ヴェヒター
ヴェーヌス:グレース・バンブリー
領主ヘルマン:ヨーゼフ・グラインドル
牧童:エルゼ・マルグレーテ・ガルデッリ

ごめんなさい、私にはこの演奏の良さがわかりませんでした。歌手は豪華ですが、3年前に聴いたときはそれほど感銘を受けなかったのです。サヴァリッシュはシューマンなど指揮したときはよいのですが、彼のワーグナーは私にとってそれほど面白くないかも。


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ゲオルク・ショルティ指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン国立歌劇場合唱団
ウィーン少年合唱団
1970年の録音

タンホイザー:ルネ・コロ
エリーザベト:ヘルガ・デルネシュ
ヴォルフラム:ヴィクター・ブラウン
ヴェーヌス:クリスタ・ルートヴィヒ
領主ヘルマン:ハンス・ゾーティン

このオペラで最も条件の良さそうなCDです。歌手は女性陣がよいですね。指揮はワーグナーの主要オペラを録音しているショルティですし、オーケストラもウィーン・フィルで魅惑のサウンドを聴かせます。でも、このCDでもどこか物足りなさを感じてしまいます。ここで、いつもは記事を書き終えるまで見ないことにしているのですが、どうしても気になったので、名曲名盤500を開いてしまいました。「タンホイザー」はダントツ1位でショルティ盤でした。ふぅん、やっぱりそうなんだ。ショルティだったらもっとダイナミックで鮮烈な演奏を残せそうな気もするのですが。


イメージ 5

ロリン・マゼール指揮
ピッツバーグ交響楽団
メンデルスゾーン合唱団

気分を変えて交響組曲「タンホイザー」を聴いてみました。マゼールは本当は全曲盤を録音したかったのではないかと思いました。パリ版に基づいたマゼール自身の編曲による演奏で「官能的に始まり,敬虔なものとなり,そして激しく,最後には宗教的なものになる。この交響組曲版によって,タンホイザーのそうした面が際立ち,その美しさに新しい光を当てることができれば……というのが私の願いである(ロリン・マゼール)」だそうです。でも、これを聴くぐらいならオペラ全曲盤を聴いていただきたいと思いました。ごめんなさいマゼール。


イメージ 6

ベルナルト・ハイティンク指揮
バイエルン放送交響楽団&合唱団
1985年の録音

タンホイザー:クラウス・ケーニヒ
エリーザベト:ルチア・ポップ
ヴォルフラム:ベルント・ヴァイクル
ヴェーヌス:ヴァルトラウト・マイヤー
ヘルマン:クルト・モル
ヴァルター:ジークフリート・イェルザレム
ビーテロルフ:ヴァルトン・グレンロース
ハインリヒ:ドナルト・リタカール
ラインマル:ライナー・ショルツ
牧童:ガブリエレ・ジーマ
4人の小姓:テルツ少年合唱団員

最初は手堅い演奏と思っていたのですが、これはなかなかの名演です。歌手も素晴らしいし、オケも合唱も美しいです。ハイティンクって録音数が多いのに、なかなかこれはと思う名演が少ないと思っていたのですが、このワーグナーは素晴らしいです。でもハイティンクが録音しているワーグナーって、「タンホイザー」と「ニーベルングの指環」ぐらいでしょうか。もったいないです。


私が初めてワーグナーっていいなと思ったのは、「タンホイザー」序曲を聴いたときでした。カラヤンの1974年盤が最も好きな演奏です。だからオペラ全曲もカラヤンが残していてくれたらよかったのですが、なぜか「タンホイザー」はないんです。最もカラヤン向きのワーグナー作品だと思うのですが不思議です。(あるにはあるんです。1963年のライヴでウィーン国立歌劇場を指揮したモノラル録音。Deutsche Grammophonから発売されていました。今は廃盤かな。)


もしかして「タンホイザー」って、ワーグナー作品の中では人気がない?


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