オーディオで最も難しいのはスピーカー選びだと思っています。お金はソフトの購入に使ったほうが充実した人生を過ごせると信じているのですが,それでもスピーカーは良いものがほしいです。でも,いまだに理想のスピーカーに出会えません。それで,いつ頃からスピーカーを探しているのかというと,話はずっと以前の時代に遡ります。
私が最初に興味を持ったのは,YAMAHAのスピーカーでした。楽器を製造している会社がつくったスピーカーだから,きっと良い音がするだろうと考えたのです。FM雑誌でミュージシャンのリスニングルームを紹介している頁があり,その人が使っていたスピーカーがこれ(↓)。気品があるデザインに心惹かれました。
YAMAHA NS-690(1973年?)
3ウェイ・3スピーカー・密閉方式
ブックシェルフ型
低域:30cmコーン型
中域:7.5cmドーム型
高域:3.0cmドーム型
再生周波数帯域:35Hz~20kHz
インピーダンス:8Ω
出力音圧レベル:90dB/W/m
外形寸法:幅350×高さ630×奥行312mm
重量:22kg/本
こんなに古いスピーカーだったかな。私が興味を持ったのは,1978年のNS-690IIか,1980年のNS-690IIIかも。
私が両親にねだったのは,このような高価なスピーカーではなく,もっと小さな2ウェイのスピーカーでした。型番は忘れましたが,白いウーファーだったのを覚えています。
レコードを製作している会社のスピーカーも良い音がするのではないかと思っていました。ビクターの製品です。ちなみにDENONは全く候補に上がりませんでした。デザインが地味だったからでしょう。
VICTOR SX-7(1973年発売)
3ウェイ・3スピーカー・密閉方式
ブックシェルフ型
低域:30cmコーン型
中域:7.5cmドーム型
高域:3cmドーム型
インピーダンス:4Ω
出力音圧レベル:88dB/W/m
周波数特性:25Hz~20KHz
外形寸法:幅355×高さ635×奥行322mm
重量:25kg/本
これも,私がほしかったのは,1980年頃のSX-7IIだったかもしれません。ウーファーがデコボコなのが,良くも悪くも相当印象的で,ちゃんと音が出るのか心配でした。
また,YAMAHAです。雑誌等でよく見かけたスピーカー。
YAMAHA NS-1000M(1974年)
3ウェイ・3スピーカー・密閉方式
ブックシェルフ型
低域:30cmコーン型
中域:8.8cmドーム型
高域:3.0cmドーム型
再生周波数帯域:40Hz~20kHz
インピーダンス:8Ω
出力音圧レベル:90dB/W/m
外形寸法:幅375×高さ675×奥行326mm
重量:31kg/本
これは国産で最も有名なスピーカーではなかったでしょうか。お使いになったことがある人も多いと思います。スコーカーとツィーターの振動板にベリリウム(原子番号4の元素。元素記号はBe。極めて毒性の高い物質。えっ?)という金属を用いているのが最大の特徴です。
追記:これも,こんなに古いスピーカーだったかな?と首を傾げましたが,NS-1000Mは23年もの間(!)販売され続け,20万本以上売れたのだそうです。さすが,国産で初めて海外の放送局で使われたスピーカーだけのことはありますね。
さて,この記事で,かつて私が音を聴いたことがあるスピーカーはひとつしかありません。それは,この(↓)スピーカーです。
SONY SS-G7(1976年)
3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式
フロア型
低域:38cmコーン型
中域:10cmバランスドライブ型
高域:3.5cmバランスドライブ型
再生周波数帯域:30Hz~20kHz
出力音圧レベル:94dB/W/m
インピーダンス:8Ω
外形寸法:幅510×高さ940×奥行445mm
重量:約48kg/本
なぜ聴いたことがあるかというと,学校の音楽室にあったからです。音楽の先生が校長先生にお願いして買ってもらった自慢のスピーカーでした。でも,生徒が悪戯してスコーカーのセンターキャップをへこませてしまい,先生もへこんでしまいました。それ以来,このスピーカーは使わないときは鍵付きの箱に収められるようになりました。スピーカーの設置環境としてはよろしくなかったですね。
Technics SB-7000(Technics7)(1977年)
3ウェイ・3スピーカー・リニアフェイズバスレフ方式
フロア型
低域:35cmコーン型
中域:12cmコーン型
高域:3.2cmドーム型
再生周波数帯域:40Hz~20kHz
インピーダンス:6Ω
出力音圧レベル:93dB/W/m
外形寸法:幅480×高さ845×奥行410mm
重量:36kg/本
このスピーカーは,デザインがすごく印象的でした。男の子が喜びそうなデザインでしょう。スピーカーって,楽器や家具のイメージがありますが,これは実用本位というか,業務用みたいな雰囲気に心がくすぐられたました。巨大なスピーカーに見えますが,SONYのSS-G7のほうが大きくて重たかったんですね。
YAMAHA NS-2000(1982年?)
3ウェイ・3スピーカー・密閉方式
ブックシェルフ型
低域:30cmコーン型
中域:8.8cmドーム型
高域:3.0cmドーム型
再生周波数帯域:28Hz~20kHz
インピーダンス:6Ω
出力音圧レベル:90dB/W/m
外形寸法:幅440×高さ752×奥行404mm
重量:47kg/本
名機NS-1000Mを超えることを目標に作られたスピーカーです。開発に8年もかかったとか? NS-1000Mはベリリウムの振動板が有名ですが,NS-2000はそれに加えて,ピュアカーボンファイバーを長い繊維のまま放射状の一方向配列コーンに仕上げるという世界初の奇跡的技術によりつくられたウーファーがセールスポイントでした。
もっとも,NS-1000Mでさえ手が届かない私がNS-2000なんてとんでもない話で,検討対象外でしたが……。NS-1000Mの中古はよく見かけますが,NS-2000はあまり見たことがないです。
社会人になった私が2番目に入手したのはダイヤトーンのブックシェルフ型でした。低音から高音までバランスの良い自然な音で,数年間ではありましたけれど,某英国製スピーカーがやって来るまで愛用していました。
DIATONE DS-3000(1984年)
4ウェイ・4スピーカー
アコースティック・エアーサスペンション方式
ブックシェルフ型
低域:32cmコーン型
中低域:16cmコーン型
中高域:5.0cmドーム型
高域:2.3cmドーム型
公称インピーダンス:6Ω
再生周波数帯域:25Hz~40kHz
出力音圧レベル:90dB/W/m
外形寸法:幅450×高さ750×奥行420mm
重量:52kg/本 ←重い!
私が使用していたのは,もちろん,この(↑)スピーカーではありません。オーディオ・ファンのリスニング・ルームを訪ねる記事があって,ダイヤトーン・マニアがコレクションしていたスピーカーの中に4ウェイの機種があり,スピーカーが4つあるなんてすごいなぁと感心したのでした。
海外のスピーカーを紹介していませんが,興味がなかったわけではないのです。今回は,文字数の都合で割愛しただけ。
さて,本題です。この中の,あるスピーカーをお譲りいただけることになりました。それが決まったのは去年の話だったのですが,いろいろ理由があって引取りを先延ばしにしていました。ブックシェルフ型とはいえ,大きなスピーカーですので設置場所をつくらなければなりませんが,それに時間がかかったのです。
また,せっかく名機をいただくのであれば,新品に近い状態で受取りたいと考え,レストア(老朽化などの理由により,劣化もしくは故障した製品を修復し、復活させること)に出すことにしました。
自分のスピーカーであれば,高いお金をかけてレストアしようという気にはなかなかならない(それだけのお金があったら新しいスピーカーを買いたい)ものですが,今回は初期投資ゼロなので,少しぐらいお金がかかってもよいという気になりました。
決心して引き取るのですから,少しでも長く使いたいと思いますし,気に入らない音だったらショックじゃないですか。でも,せっかくレストアして自分の好みじゃない音だったら,もっとイヤかも。
ウーファーのエッジは、前所有者(仮称P)さんがヤマハさんで交換していて問題が無いようなので原状のままとし,ツィーター&スコーカーの分解整備,各ユニットフレーム塗装,アッテネーター整備,フィルムコンデンサーに全交換,ユニット取り付けビス交換,接続端子交換等をお願いしました。これだけお金をかけるなら,もう少し予算を追加して新しいスピーカーを……,いや,そういうことは考えちゃいけない。
オーディオ全盛期のスピーカーは、物量を投入して作り込まれていますから,きちんとレストアしてあげれば,現代のスピーカーに優るとも劣らない素晴らしい音を奏でてくれるはずです。たぶん。おそらく。
土曜日の朝,大きな荷物が届きました。
早速,開梱します。
サランネットを外すと,このような姿が。
ベリリウムのスコーカーとツィーターです。
レストアしてもらったので新品同様!
もう1台も姿を現しました。周囲は既にゴミの山。
さて,問題は,重量47kg・本のYAMAHA NS-2000を
どうやってスピーカースタンドに載せるか?です。
抱きついてくれたら持ち上げられないこともないのですが。
数ヵ月前から考えていた方法はこれ(↓)です。
雑誌をスピーカーの左右に交互に挟み込んでいきます。
少しずつ高くなっていきます。結構疲れる作業です。
今,地震が来たら,すごく困ることになりそうです。
スタンドと同じ高さになったので,後方へずらします。
移動完了! ||| \( ̄▽ ̄;)/ |||
一本目をセットし終った段階で,疲労困憊です。
2本目も同じことをくり返します。やれやれ。
終了! \(^▽^\)(/^▽^)/
アンプとプレーヤーの電源を入れ,しばらく経ってから試聴を開始。
今までに数え切れないくらい聴いた音源でテストをしてみました。
第一印象は……。