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Channel: 私が好きな曲(クラシック音楽のたのしみ)
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シューベルト 弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」の名盤

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この曲は、シューベルトの力作であり傑作というだけでなく、弦楽四重奏曲というジャンルの名曲・人気曲です。

ただ、気になるのは「死と乙女」という副題が付いていること。第2楽章が、歌曲「死と乙女」の伴奏部を主題とした6つの変奏とコーダで構成されているからです。「死と乙女」というタイトルにこだわりたくないものです。

このブログでは、弦楽四重奏曲が続いていますが、シューベルトの弦楽四重奏曲第14番は、格が違うというか、すごいです。シューベルトはやはり天才でした。

こだわるなと言っておきながら、シューベルトの歌曲「死と乙女」(Der Tod und das Mädchen)作品7-3、D531を、まず聴いてみたいと思います。聴かなくてもだいじょうぶですけれど。

Dietrich Fischer-Dieskau
"Der Tod und das Mädchen"; Franz Schubert

フランツ・シューベルト
弦楽四重奏曲第14番ニ短調 D810
「死と乙女」

第1楽章 Allegro 4分の4拍子
第2楽章 Andante con moto 2分の2拍子
第3楽章 Scherzo: Allegro molto 4分の3拍子
第4楽章 Presto 8分の6拍子

アルバン・ベルク四重奏団による「死と乙女」です。
凝った映像ですが、弦楽四重奏とはこうしたものという勉強になります。
Franz Schubert - String Quartet No.14 in D minor, D.810 
Alban Berg Quartett

マーラー編曲の弦楽合奏版です。これは……。
Schubert - Death and the Maiden (Arr. by Gustav Mahler)



イメージ 6

弦楽四重奏曲第14番ニ短調 D.810
アマデウス四重奏団
ノーバート・ブレイニン
ジークムント・ニッセル
ペーター・シドロフ
マーティン・ロヴェット
1959年4月 ハノーファー.ベートーヴェンザール

まず、楽器の音色が気になります。よく言えば「いぶし銀の音色」、悪く言えば「くすんだ」「錆びた」音色でしょうか。はっきり言って音が汚く、古めかしい感じがします。じゃあ全然ダメかというと、そうでもないのです。聴いているうちに少しずつ音楽に惹き込まれるようになり、この演奏がもつ緊張感・集中力の高さに感銘を受けます。「死と乙女」はベートーヴェン的とも言われていますが、この演奏はまさにそのイメージです。特に終楽章など、まるでライヴのような白熱した演奏です。終演後に拍手が起こるのではないかと思うくらいで、この録音に聴くアマデウスQの剛毅な音色が圧倒的な迫力を生み出しています。



イメージ 5

弦楽四重奏曲第14番ニ短調 D.810
イタリア四重奏団
パオロ・ボルチャーニ
エリサ・ペグレッフィ
ディーノ・アッシオーラ
フランコ・ロッシ
1979年10月 スイス,ラ・ショードフォン

イタリア四重奏団は名クァルテットとして名高いですよね。名盤とされている録音も多いですし、意外にレパートリーが広くて、このクァルテットで私が入手したいと思っている録音にヴェーベルンの弦楽四重奏のための作品全集があります。イタリアの四重奏団なので、よく歌う演奏というイメージがあり、そのとおりの演奏です。シューベルトにうってつけの特長をもつクァルテットですが、この曲の場合、もう少し堅固なアンサンブルを求めたくなります。私の好みと、ちょっと合わないだけであり、名演には違いありませんので、もちろんこれを選ばれるのもありと思います。



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弦楽四重奏曲第14番ニ短調 D.810
アルバン・ベルク四重奏団
ギュンター・ピヒラー
ゲルハルト・シュルツ
トーマス・カクシュカ
ヴァレンティン・エルベン
1984年12月 スイス

このCDは所有していません。忘れないよう、ここに記しておきます。理由は後述のとおりですが、1994年のライヴがあまり良いとは思えなかったからで、こちらの演奏を聴いてみたいからです。おそらくこちらのほうが優れているのではないかと思われます。(ライヴ盤は廃盤のようで、こちらしか入手できないようです。)



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弦楽四重奏曲第14番ニ短調 D.810
ハーゲン四重奏団
ルーカス・ハーゲン
ライナー・シュミット
ヴェロニカ・ハーゲン
クレメンス・ハーゲン
1990年10月 ミュンヘン、プレナーザール

私が好きなハーゲン四重奏団の数ある録音(Deutsche Grammophonだけで48枚あるそうです)の中でも、これは代表的な演奏ではないでしょうか。シューベルトの弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」のイチ押しです。帰りの電車の中、そして入浴中に、この演奏の素晴らしさをどのように表現したらよいだろうかと思案したのですが、例えばルーカスの第1ヴァイオリンの品のある美しさ、崩し過ぎない節度ある節回し、負けず劣らずのシュミットの第2ヴァイオリンは相変わらずよい仕事をしていますし、ヴェロニカの雄弁なヴィオラはクレメンスのスケール豊かななチェロとともに弾力性と強靭性を兼ね備えたリズム・セクションを形成し、全体に和音が美しく、伸びやかで、若さに溢れ、情熱的で……、といくら書いても結局演奏の魅力を伝えられないどころか、白々しささえ漂うのが結末ですので、素晴らしい演奏ですの一言に留めておいたほうがよかろうというのが結論です。

なお、この録音の数年前の映像(第2ヴァイオリンがアネッテ・ビクであった1987年の収録)がありましたので、URLを貼り付けておきます。
もちろんCDはこれ↑より優れた演奏です。この頃のハーゲンQはまだ若かったのです!(この演奏はちょっと堅いですね。)



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弦楽四重奏曲第14番ニ短調 D.810
アルバン・ベルク四重奏団
ギュンター・ピヒラー
ゲルハルト・シュルツ
トーマス・カクシュカ
ヴァレンティン・エルベン
1994年4月 ウィーン・モーツァルトザール(ライヴ)

このCDは「死と乙女」の名盤第1位の座にあります。でも、これはそんなに良いかなぁというのが個人的な感想です。アルバン・ベルク四重奏団には、1984年の録音(セッション)もあり、そちらは持っていないのですが、でも、この1994年ライヴより、1894年セッションのほうが良いかもしれません。この録音はライヴというだけあって、4人が感興の趣くままに演奏しているのですが、アルバン・ベルクQの特長である精緻なアンサンブルは、かなりグラグラしています。第2楽章はピヒラーの歌をはじめ、さすがに聴かせるものがありますが、他の3つの楽章はあまり感心しませんでした。そんなわけで1984年のセッションを是非聴いてみたいです。



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弦楽四重奏曲第14番ニ短調 D.810
カルミナ四重奏団
マティ-アス・エンデルレ
スザンヌ・フランク
ウェンディ・チャンプニー
シュテファン・ゲルナー
2000年10月 スイス、ラ・ショー・ド・フォン,ムジカ・テアトル

前にも書いたかもしれませんが、カルミナQは好きなクァルテットです。楽曲に対する真摯な演奏姿勢に好感が持てます。真面目と言っていいくらい、曲に対する奉仕がずば抜けています。それではこれがお薦めかと問われると、ちょっと困ってしまいます。この演奏でなければならないというところが見い出しづらいからです。合奏時の強音があまりきれいでないのも、マイナス要因としてあります。なお、名曲名盤500では、当CDはハーゲンQと同点の第2位です。演奏は確かに良いのですよ。




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