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Channel: 私が好きな曲(クラシック音楽のたのしみ)
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フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)を聴く(その1)

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やっとモーツァルトの「レクイエム」から解放され、いろいろな曲を聴こうと思った今週ですが、仕事が忙しかったんですよ。金曜日までに終わらなかったので、家に持ち帰り、土・日曜日に仕上げようと考えたのですが、どうもやる気が起きません。それに、なんだかすごく眠いのです。ブログも一週飛ばそうかと思いましたが、少し書いてみます。ブログのトップ・ページに「レクイエム」のタイトルが3つ並んでいるのも、何やら不吉な感じがしますしね。

最近あちこちでフランソワ・グザヴィエ・ロトの名前を見かけます。レコード芸術3月号の表紙はロトで、特集「ピリオド演奏が拓くオーケストラ新時代」も扉はロトの写真、ロトへのインタビューも4頁あります。

HIP(歴史的情報に基づく解釈)の代名詞的存在にまで駆け上がったロト。しかし、私は今までロトの指揮による演奏を聴いたことがありません。その理由は、ロトのCDが高いからです。(R. シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語り」と「アルプス交響曲」は安くなったようです。)

フランソワ・グザヴィエ・ロト(Francois-Xavier Roth)について紹介します。いろいろなところから寄せ集めてつくりました。

1971年11月パリ生まれ。
父は作曲家であり、教育者としても高名なオルガニストのダニエル・ロト。
パリ音楽院でフルートをアラン・マリオンに、指揮をヤーノシュ・フュルストに師事。
ロンドンのドナテッラ・フリック指揮コンクールで第1位を獲得。この受賞により、ロンドン交響楽団のアシスタント・コンダクターに任命され、ジョン・エリオット・ガーディナーのアシスタント・コンダクターも務めることになる。
これに並行して、ロトはアンサンブル・アンテルコンタンポラン、カーン劇場と密接な関係を築き、さらにトゥールーズ・キャピトール管弦楽団、マリインスキー劇場管弦楽団、パリ管弦楽団とも関わりを深め、2003年9月にパリ音楽院の指揮科教授となる。
2003年、作曲当時の様式に合わせてモダンとピリオド両方の楽器を用いるオーケストラ、「レ・シエクル」を結成。
2011~2016年バーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団(←2016年7月17日に最終公演)の首席指揮者。
2015年よりケルン市音楽総監督(GMD)としてケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団及びケルン歌劇場を率いる。
2017年9月よりロンドン交響楽団首席客演指揮者。
2017年レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエ受賞。


ロトといえばレ・シエクル、レ・シエクルといえばロトというように、この名コンビが評判になっているわけですが、フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮のレ・シエクルの録音がどれだけあるのか、調べてみました。



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ショパン:ピアノ協奏曲第2番ヘ短調 Op.21
ショパン:ピアノ協奏曲第1番ホ短調 Op.11
ドニ・パスカル(ピアノ/プレイエル)
レ・シエクル
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)
2005年 フランス,Theatre Imperial de Compiegne



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ベルリオーズ:幻想交響曲 op.14a
レ・シエクル
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)
2009年8月30日 ラ・コート・サンタンドレ,シャトー・ルイXI



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サン=サーンス:
交響曲第3番ハ短調 op.78「オルガン付き」
ピアノ協奏曲第4番ハ短調 op.44
ダニエル・ロト(1862年カヴァイエ=コル製オルガン)
ジャン=フランソワ・エッセール(1874年エラール製ピアノ)
レ・シエクル
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)
2010年5月16日 パリ,サン・シュルピス教会
2009年6月16日 オペラ・コミーク座



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マルタン・マタロン:
トラムIV (2001) ~ピアノと11楽器のための
トラムII (1999) ~クラヴサンと6楽器のための
トラムVIII (2008) ~マリンバと6楽器のための
フローランス・チョッコラーニ(ピアノ)
モード・グラットン(チェンバロ)
南恵理子(マリンバ)
レ・シエクル
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)
2009年11月20日 ロシェル,ラ・クルシヴ
2009年11月15日 アルル,メジャン教会



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グラズノフ:
バレエ音楽「ライモンダ」第2幕より「サラセン人の入場」「東洋の踊り」
グラズノフ:
バレエ音楽「四季」より「秋のバッカナール」
シンディング/チャーリー・パイパー編:
東洋舞曲 Op.32-5
アレンスキー:
バレエ音楽「エジプトの夜」より「エジプト女の踊り」「蛇のシャルムーズ」「ガジーの踊り」
グリーグ/ブルーノ・マントヴァーニ編:
小妖精 Op.71-3(抒情小曲集より)
ストラヴィンスキー:
バレエ「火の鳥」全曲 (1910)
レ・シエクル
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)
2010年10月2日 パリ,シテ・ド・ラ・ミュジーク
2010年10月9日 ラン大聖堂



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デュボワ:
フリチョフ序曲 (1880)
ピアノ協奏曲第2番 (1897)
十重奏曲 (1909)
ヴァネッサ・ワーグナー(ピアノ/1880年製エラール)
レ・シエクル
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)
2011年



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デュカス:
交響詩「魔法使いの弟子」 (1897)
カンタータ「ヴェレダ」 (1888)
「ポリュークト」序曲 (1891)
シャンタル・サントン(ソプラノ:2)
ジュリアン・ドラン(テノール:2)
ジャン=マニュエル・カンドノ(バリトン:2)
レ・シエクル
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)
2011年4月12日 ヴェネツィア,スクオーラ・グランデ
2012年5月31日 ラベイ・ド・レポー



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リスト:
ダンテ交響曲(ダンテの「神曲」による交響曲
交響詩「オルフェウス」
カーン聖歌隊
レ・シエクル
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)
2011年9月9日 パリ,ラン大聖堂
2011年12月4日 カーン劇場



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ドビュッシー:
管弦楽組曲第1番 (1882)
「海」~3つの交響的スケッチ
レ・シエクル
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)
2012年2月2日 パリ,シテ・ド・ラ・ミュジーク
2012年4月13日 ローマ,聖チェチーリア音楽院



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シャブリエ:狂詩曲「スペイン」
マスネ:歌劇「ル・シッド」~バレエ組曲
ラヴェル:道化師の朝の歌
ドビュッシー:管弦楽のための「映像」~イベリア
レ・シエクル
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)
2012年8月24日 ラ・シューズ・デュー音楽祭
2013年2月9日 パリ,サル・プレイエル
2014年3月28日 ペルピニャン,ラルシペル



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ストラヴィンスキー:
バレエ「春の祭典」(1913年初版)
2013年5月14日 メス・アルセナル
2013年5月16日 グルノーブルMC2
2013年9月29日 フランクフルト旧オペラ座
バレエ「ペトルーシュカ」(1911年初版)
2013年5月14日 メス・アルセナル
2013月16日 グルノーブルMC2
レ・シエクル
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)


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ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」全曲
アンサンブル・エデス
レ・シエクル
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)
2016年
フィルハーモニー・ド・パリ
シテ・ド・ラ・ミュジーク・ド・ソワソン
コンピエーニュ帝国劇場
セナール劇場
アミアン・カルチャーセンター(以上、フランス)
ライスハレ(ハンブルク)
スネイプ・モルティングス・コンサートホール(オールドバラ)



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リゲティ:
6つのバガテル (1953)~木管五重奏のための
室内協奏曲 (1970)
10の小品 (1968)~木管五重奏のための
マリオン・ラランクール(フルート)
エレーヌ・ムロ(オーボエ)
クリスティアン・ラボリ(クラリネット)
ミカエル・ロラン(バソン)
ピエール・ルジェリ(ホルン)
レ・シエクル
フランソワ=グザヴィエ・ロト
2016年4月12-14日
アルル,メジャン礼拝堂
パリ,シテ・ド・ラ・ミュジーク



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メサジュ:歌劇「お菊さん」より「Le jour sous le soleil beni」
ドビュッシー:歌劇「ペレアスとメリザンド」より「Mes longs cheveux descendent」
ドリーブ:歌劇「ラクメ」より「若いインドの娘はどこへ?」
ドラージュ:「4つのインドの詩」
ドビュッシー:「アリエルのロマンス」
ドリーブ:歌劇「ラクメ」より「おいで、マリカ」
ストラヴィンスキー:「夜鳴きうぐいす」より「Ah, joie, emplis mon Coeur」
トマ:歌劇「ハムレット」より「A vos jeux, mes amis」
ベルリオーズ:「オフェリアの死」
マスネ:歌劇「タイス」より「Celle qui vient est plus belle」
ケクラン:「ヴォヤージュ」
ドリーブ:歌劇「ラクメ」より「Tu m'as donne le plus doux reve」
サビーヌ・ドゥヴィエル(ソプラノ)
マリアンヌ・クレバッサ(メゾ・ソプラノ)
ジョディー・デボス(ソプラノ)
アレクサンドル・タロー(ピアノ)
レ・シエクル
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)
2017年2~3月



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ラヴェル:
バレエ「マ・メール・ロワ」
「シェエラザード」序曲
組曲「クープランの墓」
レ・シエクル
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)
2016年10月31日 フィルハーモニー・ド・パリ
2016年11月2日 ロンドン,サウスバンク・センター
2016年11月4日 シテ・ド・ラ・ミュジーク・ド・ソワソン
2017年5月20日,9月9,17日 フィルハーモニー・ド・パリ
2017年8月13日 ブローニュ=ビヤンクール,ラ・セーヌ
※2018年4月10日発売


完全ではないかもしれませんが、ざっとこんなところです。結構いっぱいあります。ピリオド楽器オーケストラといっても、バッハやモーツァルトを演奏するのではなく、100年ぐらい前の曲から現代曲までがレパートリーの中心のようです。やはり、フランス物が多いですね。そのうちの数点が日本で高い評価を得ました。実は、ロトの録音はこれだけではなく、別のオーケストラを指揮した録音も多いのです。それについては後で触れますが、まずはロト指揮のラ・シエクルの演奏を聴いてみたいと思います。

1枚目は、2014年度の第52回レコード・アカデミー賞「大賞」を受賞した、ストラヴィンスキーの「春の祭典」(1913年初版)、「ペトルーシュカ」(1911年初版)です。

これは「ペトルーシュカ」が面白かったです。その理由はおそらく、私が所有しているCDの多くが「1947年販(3管編成)」であり、このCDは「1911年販(4管編成)」であることから、新鮮に聴こえたのだと思います。このCDの「1911年販(4管編成)」は大編成なのに「地味な印象がある」とWikipediaに書かれていますが、ピリオド楽器オーケストの「レ・シエクル」だと、いっそう地味に聴こえます。また、キングインターナショナルさんは「通常の交響楽団がこの版をとりあげると、もっさりと重くなりますが」と書いていますが、レ・シエクルのほうが「もっさり」しているのでは?

さて、来日公演でも演奏する「春の祭典」ですが、「キングインターナショナル」さんは、このCDについて重要なことを書いていますので、再び引用させていただきます。「まず冒頭のファゴット(1900年ビュッフェ・クランポン製バソン)の音から未知のもので衝撃度満点。また小型のフレンチ・チューバ、小トロンボーンも新鮮で、ピストン・ホルン8本の響きも独特。ロシア的な重量感あふれる音で奏されるのが常ですが、この明るいフランス的音色こそまさに初演時の音。目から鱗が落ちる衝撃度です。また「春の祭典」初演時1913年版楽譜は自筆のままでパウル・ザッハー財団が所蔵していますが、ロトはこれと1922年ロシア音楽出版社初版のスコア、モントゥー所蔵の1920年代初頭の楽譜を検討、音の間違いとストラヴィンスキーが改訂した箇所をはっきりさせ、1913年5月29日初演時の音の再現を試みました。」とあります。

「春の祭典」全曲を聴くなんて、本当に久しぶりです(来週の火曜日に実演を聴く予定ですが。)。

簡単に書くつもりの記事が、ここまででだいぶ長くなってしまいましたので、ここからペースを早めます。早く終りにして仕事をしなければ! 焦ります。

「ペトルーシュカ」もそうだったのですが、「春の祭典」でもロトの優れたリズム感覚に感心しました。聴いていて気持ちが良いのです。聴きながら、ふと思ったのですが、これが現代の楽器による演奏でああれば、もっと優れた、素晴らしい演奏になったのではないか、と。(これがレコード・アカデミー賞大賞受賞?という気がしないでもありません。)

このCDのこだわりのひとつである「版」についてですが、「1913年5月29日初演時の音の再現」としています。これについては信じるほかありませんし、今回の来日公演も「100名のオリジナル楽器オーケストラで蘇る初演の響き」という触れ込みですから、本当なのかもしれません。

この「版」の問題については、ブログ生命をかけて取り組んでいる方がいらっしゃいますので、そちらを参照していただければと思いますが、「春のきざし」のリズムのきざみが急に弱くなったり、「春のロンド」の終り頃の一瞬の空白など、聴いたことがない箇所がありました。

次にですね、端折って書きますが、同じストラヴィンスキーの「火の鳥」(全曲)も聴きました。これも、1910年6月のピエルネ指揮パリ・オペラ座での初演された際の再現というこだわりのCDです。

ストラヴィンスキーのオーケストレーションの妙やメロディの美しさに心を奪われる瞬間がたびたびあるものの、この年齢になると全曲聴くのはしんどいです。早く「魔王カスチェイの凶悪な踊り」にならないかなと、辛抱して聴きました。

「火の鳥」もずいぶん長いこと全曲盤を聴いていなかったのですが、そのせいか、レ・シエクルの演奏は違和感なく聴くことができました。ロトの指揮、楽曲解釈は変わらず優れたもので、テンポ設定は常にドンピシャという感じです。

その次は、ドビュッシーの「海」です。ロト&ラ・シエクルに最初に興味を持ったのがこの曲の録音でした。ドビュッシーの時代の響きとはどんなものだったのでしょう。これは、聴き比べをしようと思い、このCDを用意しました。

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ドビュッシー
「海 - 管弦楽のための3つの交響的素描」
「夜想曲」
フィルハーモニア管弦楽団
マイケル・ティルソン・トーマス(指揮)
1982年 ロンドン,EMIスタジオ

これはもう、久しぶりに聴いたMTTの「海」が素晴らしくて、そちらの方がメインの試聴になってしまったのですが、ざわざわっとした感じのレ・シエクルも悪くはなかったです。ただ、現代オーケストラ(といっても、もう36年前の録音になってしまいましたが)の機能的な響きにはかなわないような気がします。


そして、デュカスの交響詩「魔法使いの弟子」ですが、これも次のCDと聴き比べてみました。

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シャブリエ:楽しい行進曲
デュカス:交響詩「魔法使いの弟子」
シャブリエ:狂詩曲「スペイン」
サティ:2つのジムノペディ(ドビュッシー編)
サン=サーンス:バッカナール
ビゼー:小組曲「子供の遊び」
トマ:歌劇「レーモン」序曲
イベール:喜遊曲
モントリオール交響楽団
シャルル・デュトワ(指揮)
1987年10月 モントリオール

デュトワの名盤です。ただ、CDの劣化(不良品?)に気づいてしまい、ちょっと残念でしたが、非常に洗練された美しい「魔法使いの弟子」を聴くことができました。これに比べると、やはりロト&レ・シエクルは、音色・色彩の点で劣るように思われました。

ロト&レ・シエクルもけして悪くはないです。ただ、比較に用いているのが名盤なので、分が悪いというところでしょうか。

ロトはオーケストラ・コントロール&ドライヴという点において、過去の指揮者に比べても、かなりの実力の持主と見ましたので、現代楽器のオーケストラとの再録音を期待したいところです。

とはいうものの、何度も聴くと、ラ・シエクルの響きに慣れてしまい、それはそれで繰り返し聴きたくなる魅力を放っていますので、不思議なものです。頭が混乱します。


ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」全曲も聴きましたが、これは期待したほどではなかったので、感想を省略します。むしろ、4月10日発売の「クープランの墓」他が楽しみです。


さて、後で触れると書いた、ロトが別のオーケストラを指揮した録音です。この勢いで書いてしまうと考えましたが、もう力が残っていません。来週に送りたいと思いますが、ガラリとレパートリーが変わって、リヒャルト・シュトラウスの管弦楽曲と、マーラーの交響曲を指揮した演奏になります。


ああっ、もうこんな時間!


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