4月29日、5月1日、5月2日と、このブログにしては珍しいペースで更新しています。フランクのシリーズは、今回で終わりのはずでしたが、さすがに40種超の録音について1回で全部書くのは無理なので、2回に分けることにしました。本当は3回に分けたいくらいですが、先を急ぎます。書いても書いても終わらないので。(追記:やっぱり3回に分けます。2014年の録音が多い! 多過ぎる!)
フランク ヴァイオリン・ソナタ
ヴァディム・レーピン(vn)
ニコライ・ルガンスキー(p)
2010年7月10-13日
ベルリン,テルデックス・シュトゥーディオ
【お薦め】
今回は最初からレーピンです。現代のヴァイオリン界を背負って立つ感のあるレーピン(1971年-)とピアノのルガンスキー(1972年-)の豪華ロシアン・デュオ。さて、レーピン、やはり巧いです。巧さが半端じゃありません。2人の存在が輝かしいです。こういう演奏が聴けるのなら、もうしばらくこのシリーズを続けてもいいかなと思いました。
第2楽章はルガンスキーの腕の見せ所でもあります。ルガンスキーも巧い! 2人とも憎たらしいほどに余裕で弾いています。この楽章がこんなに激しく弾かれたことがあったでしょうか。
第3楽章 recitativo 部の雄弁さ、強弱記号はfffに至りますが、その力強さ。Fantasia 部の寂寥感、ほのかな明るさ、第4楽章と共通するフレーズを奏でるヴァイオリンの意志の強さ。
第4楽章は人が替わったようにコミカルな演奏となります。それでも寂しさを忘れません。そして例のフレーズはすごい迫力で演奏されます。
カロリー満点の一枚でした。
フランク ヴァイオリン・ソナタ
ジェラール・プーレ(vn)
ノエル・リー(p)
2010年11月16日(リリース)
【お薦め】
2枚目は、少し古めの人達が登場します。フランスの名ヴァイオリニストであり教育者であるプーレ(1938年-)で、アメリカ人ピアニストのノエル・リー(1924年-2013年)との共演です。1枚目が超弩級の人達でしたので、プーレの演奏はいかにも軽く聴こえますが、フランクのソナタは本来このように演奏されるべきなのでしょう。プーレのヴァイオリンはによく鳴りますし、音に血が通っており、人間味の豊かさを感じます。テンポを落とさずとも、雰囲気を失っておらず、総じて安心して音楽に身を任せることができる演奏です。ノエル・リーは個性を主張せず、プーレのサポートに徹していますが、それも良い結果に結びついているのでしょう。ところで、録音年はいつなのかな。
フランク ヴァイオリン・ソナタ
ジョシュア・ベル(vn)
ジェレミー・デンク(p)
2010年11月26-29日 アリゾナ州フェニックス,楽器博物館
【お薦め】
ジョシュア・ベル(1967年-)の再録音は、ベルの伴奏者を長年務めているジェレミー・デンク(1970年-)とのアメリカン・デュオです。交互に聴き比べたわけではありませんが、ベルのヴァイオリンは落ち着きを増し、雄弁になったようです。
第1楽章は柔らかく大きな膨らみをもって演奏されます。実はこの演奏、今回の一番最後に聴いているのですが、大家の演奏というのは安心感がありますね。コーダもなるほど、このように演奏されなければいけません。
第2楽章は速めの良いテンポです。力強さより弱音の繊細さに特長があります。この楽章ではデンクの名サポートぶりも特筆に値します。
第3楽章も同様で、少し小ぶりではりますが、Recitativo 部は緊張感を持ってそれなりに盛り上がります。ただ、聴くべきは Fantasia 部で、これこそがベルが奏でたかった音楽なのでしょう。
第4楽章も手放しでは喜べないのか、どこかベルは遠慮がちで、スケール感で勝負をする人ではないものの、クライマックスに向けての設計に、ベルの円熟味を感じました。
ところでこのフランクの後に、ラヴェルのソナタが収録されているのですが、そちらのについつい耳が行ってしまいます。佳い曲ですね。
フランク ヴァイオリン・ソナタ
ジェニファー・パイク(vn)
マーティン・ロスコー(p)
2010年12月14-16日
サフォーク,ブリテン・スタジオ
2002年に史上最年少の12歳でBBCヤング・ミュージシャン・オブ・ザ・イヤーに選ばれたジェニファー・パイク(1989年-)の CHANDOS デビュー・アルバム。ピアノは同じくイギリスのマーティン・ロスコー(1952年-)です。
パイクはこの録音当時20歳でしょうか。音楽が若々しいです。小細工を弄さないストレートな表現で、自らが培った技術と音楽性で勝負しているという感じです。それが非常に好ましいと思える反面、例えば第3楽章の激しい歌は聴き手を圧倒するまでには至りません。なんとなく、底が浅いと感じてしまうのです。でも、第4楽章は良い演奏でしたよ。そう思えました。
フランク ヴァイオリン・ソナタ
南 紫音(vn)
江口 玲(p)
2011年4月7-9日
軽井沢,大賀ホール
【お薦め】
2005年ロン=ティボー国際音楽コンクール第2位を受賞、2015年ハノーファー国際ヴァイオリン・コンクール第2位の実力者である南紫音(1989年-)です。ピアノは江口玲(1963年-)で万全の布陣で挑むフランクとなります。
比較すべきではないのでしょうけれど、ジェニファー・パイクと比べたら、断然南紫音のほうが上だと思います。少なくとも私はそう思う。パイクでは幼いと感じられるところもありましたが、南紫音は完成されています。音色も南のほうがずっと美しく、技巧もしっかりしています。若々しさ、伸びやかさも欠けていません。初めてフランクのソナタを購入される方にもお薦めしたい一枚です。
フランク ヴァイオリン・ソナタ
(ジュール・デルサール編)
アンヌ・ガスティネル(vc)
クレール・デセール(p)
2011年4月
【お薦め】
拙ブログ「シューベルト アルペジオーネ(アルペジョーネ)ソナタ イ短調 D821 の名盤」で、アンヌ・ガスティネル(vc)クレール・デセール(p)の2005年録音が愛聴盤と書きました。このCDも取り上げないわけにはいかないでしょう。
デセールが良いと思うのもつかの間、やはりガスティネルは素晴らしかった。何がどうということではなく、何から何まで素晴らしいと思えてきます。前回、チェロ盤ではヨーヨー・マ盤を押しましたが、ピアノも含めた総合得点ではガスティネル盤のほうが上かもしれません。第2楽章のテンポが速いので心配になりますが、ガスティネルには問題ありません(とはいえ、パッセージは少しテンポを緩めます)。全編に渡り、チェロの豊かな音色を駆使した見事な演奏で、特に第3楽章が良かったです。でも、第4楽章はやっぱりヴァイオリンほうがいいかな。デセールのピアノも特筆もの。
フランク ヴァイオリン・ソナタ
ファブリツィオ・フォン・アルクス(vn)
ジュリアン・クエンティン(p)
2011年12月
スイス,ラ・ショー=ド=フォン
意味不明なブックレット。どうして海なのでしょう?
アルクスはナポリ生まれ、5歳でヴァイオリンを始め、10歳でヴィットーリオ・ヴェネト・コンクールで優勝という経歴(略歴)の持ち主です。ピアノのクエンティンはパリ生まれです。
全体にポルタメントが多めで、少し前の時代に戻ったようです。悪くはないのですが、特にここが他の盤より優れているというところが見つからない演奏です。懸命に歌おうとしているのだけれど、存外、楽曲への共感が低いのかも。
フランク ヴァイオリン・ソナタ
アラベラ・シュタインバッハー(vn)
ロベルト・クーレック(p)
2012年5月
オランダ,ファルテルモント
ドイツ人の父親と日本人の母親との間に生まれたドイツのヴァイオリニスト、アラベラ・シュタインバッハー(1981年-)、日本ではアラベラ・美歩・シュタインバッハーの名で紹介されています。ピアノは、ラトビアの首都リガ生まれのクーレックです。期待の1枚!
か弱いというのが第一印象でしたが、クライマックスに向けて力強くなっていく情熱的なヴァイオリンです、が、第2楽章はあまりきれいな音じゃありません。力むと汚くなるみたいです。第3楽章も考え抜かれた解釈と推察しますが、いかんせん音がきれいじゃない。第4楽章は良いです。第1~3楽章がイマイチの場合、第4楽章が良い演奏であるケースが多いのですが、この演奏も例外ではありませんでした。
フランク ヴァイオリン・ソナタ
ユーチン・ツェン(vn)
インガ・ジェクツェル(p)
2012年8月23-26日
【お薦め】
ユーチン・ツェン(1994年-)は、台北生まれのヴァイオリニスト。2006年にメニューイン・コンクール・ジュニア部門で3位、2009年に第10回サラサーテ国際ヴァイオリン・コンクールで1位・サラサーテ演奏賞を史上最年少で受賞、2010年に第53回パガニーニ国際コンクールで最優秀演奏賞、2011年にユン・イサン国際ヴァイオリン・コンクールで1位、2011年チャイコフスキー国際コンクールで審査員特別賞、2015年チャイコフスキー国際コンクールでヴァイオリン部門最高位という見事な経歴の持ち主です。ピアノのジェクツェルは、このCDに参加しているということくらいしか情報がありません。
このソナタは、第1楽章の第1主題に全てがあるというのは言い過ぎですが、これをきれいに弾けない演奏は、ほんとんど例外なくNGでした。その点この演奏はOKです。はち切れんばかりのエネルギーをもった演奏に圧倒されました。秋のイメージがある曲ですが、これは夏ですね。夏の日の夕暮れ。続く第2楽章も大変エネルギッシュな演奏で、私は大満足です。、
第3楽章の情熱劇な Recitativo と夢幻の世界に誘う Fantasia の演奏、どちらも素晴らしいでが、謎を残した分、Fantasia が印象に残りました。
第4楽章は人が変わったように明るい(そういう曲だけど)ですが、ユーチン・ツェンの性格も多分に反映されているのかもしれません。とにかくすごい才能の持ち主です。
フランク ヴァイオリン・ソナタ
神尾真由子(vn)
ミロスラフ・クルティシェフ(p)
2012年8月30日-9月3日
神尾真由子(1986年-)は、大阪出身のヴァイオリニストで、2007年チャイコフスキー国際コンクール優勝者です。ロシアのクルティシェフ(1985年-)は、も2007年チャイコフスキー国際コンクール第2位(1位無しの最高位)入賞者で、その縁で2013年7月8日に結婚したのだとか。
コンクールで実績のある人の演奏は、あまりハズレがありません。期待の一枚です。
第1楽章は感想を書くのが難しい曲でいつも苦労しています。演奏者も苦労しているのではないでしょうか。旋律を歌わせ過ぎると、なよなよした演奏になってしまいます。第2楽章はなかなか良かったです。感性に任せて弾き切ってくれればこの楽章はうまくいきます。なかなか迫力Tがありました。冒頭の音が汚い演奏が多いですが、これは合格点です。第4楽章もなかなか情熱的な演奏で素晴らしいと思いました。ただ、第1楽章が考えすぎてしまったように思われるので、お薦めは無しにしたいと思います。
フランク ヴァイオリン・ソナタ
オーギュスタン・デュメイ(vn)
ルイ・ロルティ(p)
2012年9月24-26日
Normandy,Saint-Denis-le-Ferment
【お薦め】
デュメイ(1949年-)4度目の録音、ピアノはフランス系カナダ人のロルティ(1959年-)で、万全の体制で臨んでいます。
第1楽章、初めはデュメイも枯れてしまったのかと思いましたが、最初のffには全盛期を思わせる力強さを発揮します。デュメイはきれいな音を保ったままで、いろいろなモティーフを歌い上げています。ここまで大きな弾き崩しも無く、好印象です。さすがです。
第2楽章も圧倒的な貫禄を見せつけます。初心に帰って演奏しているようで、コラールとの録音を思い起こさせます。今回はそれに近い演奏と感じました。
第3楽章・第4楽章も全く老いを感じさせず、健在ぶりをアピールしています。前回のピリス盤よりも楽曲に対する共感が一層深まり、技巧の衰えも無く、円熟の境地と言ったらよいのでしょうか、素晴らしい演奏でした。
フランク ヴァイオリン・ソナタ
ソレンヌ・パイダシ(パイダッシ)(vn)
ローラン・ヴァグシャル(p)
2012年11月
パリ,サン=マルシェ寺院
【お薦め】
2010 年のロン=ティボー国際コンクールで成田達輝が第2位というニュースがありましたが、第1位はフランスのパイダシ(パイダッシ)でした。その実力の程を確かめてみたいと思います。
第1楽章が良い演奏はなかなかないのですが、堂々とした演奏です。弱音に固執せず、強い弓捌きが音楽の豊かさを醸しています。
第2楽章も力づくで曲をねじ伏せているような感じもありますが、単調さの一歩手前、ストレートな音楽運びは若さの特権と思います。その強い音は聴いていて快感を覚えます。
第3楽章前半のfffに至る部分も思い切りの良い強音です。後半の心のこもった歌を聴かせます。
第4楽章もやや速めのテンポですっきりしていますが、味が薄いということはありません。実に力強い、というより、高らかといったほうが良いかもしれませんが、輝かしく歌い上げて終わります。
ヴァグシャルというピアニストはよくわからないのですが、なかなかの実力の持ち主とみました。抒情的な表現が特に優れており、指回りもよく、そのセンスの良さにすっかり魅了されてしまいました。
フランク ヴァイオリン・ソナタ
マリア・バックマン(vn)
アダム・ニーマン(p)
2012年12月
【お薦め】
ヴァイオリンは,アメリカの女流ヴァイオリン奏者、マリア・バックマンです。ピアノは、1995年ギルモア・ヤング・アーティスト・アワードを歴代最年少で受賞し、1996年YCA国際オーディションで優勝したニーマンです。
第1楽章第1主題は合格です。この辺り、第2主題までが大変難しい曲なのですが、バックマンは良いですね。名演を予感させます。デリケートな歌い方ですが、神経質に聴こえないのは美徳と思います。ピアノがちょっと煩いかな。
第2楽章は汚い音になるかならないかのギリギリのところで力強い表現を行っています。その思い切りのよさ、音楽への踏み込みがが素晴らしいと思いました。熱演です。
第3楽章のヴァイオリンの recitativo がなかなか素晴らしいです。微妙なニュアンスをよく音に出しています。Fantasia 部もよく歌っています。最後の音もよく伸ばしました。
第4楽章も前3楽章と同様です。強い音がもう少し太い音色だったらとも思いますが、これだけ弾ければ上出来でしょう。
ピアノにもう少しデリカシーがあったらもっと良かったのですが。
フランク ヴァイオリン・ソナタ
リサ・ヤーコブス(vn)
クセニア・コウズメンコ(p)
2013年7月
ヤーコブスは、2005年の第2回ヤッシャ・ハイフェッツ国際ヴァイオリン・コンクールで最高位を受賞したオランダのヴィルトゥオーゾ・ヴァイオリニストだそうです。ヴィルトゥオーゾなんて言葉を気安く使ってよいのだろうかと思います。クセニア・コウズメンコ(1971年-)は、ソ連(当時)のミンスク(現在はベラルーシ共和国の首都)生まれの女流ピアニストです。
第1楽章はブックレットの写真に反しておっととしたヴァイオリンが意外です。ずいぶんのんびりしていますが、こういう雰囲気も悪くありません。ちょっと焦点がぼけているような気もしますが、音がきれいなのがありがたいです。
第2楽章もやや音を引きずるような弾き方です。伸びやかですが緊迫感に欠けるような……。他の演奏のような激しさはありません。コーダはさすがに緊迫した表情を聴かせます。
ヤーコブスのこうした音楽づくりが効果を発揮するのは、第3楽章でしょう。でも同じ調子が続いたので飽きてしまいました。逆に第4楽章は素晴らしかったです。美しい音色がプラスに働き、平穏な中にも喜びを感じさせる音楽となりました。
フランク ヴァイオリン・ソナタ
Krzysztof Jakowicz(vn)
Waldemar Malicki(p)
2013年8月1日(リリース)
ポーランドの名ヴァイオリニストである Krzysztof Jakowicz(1939年-)と同じくポーランドのピアニスト、Waldemar Malicki(1958年-)の演奏です。録音年不詳ですが、ブックレットの写真やJakowicz の生年からすると、割と年を取ってからの録音ということになりますか。
第1楽章第1主題のリズムの取り方が独特です。テンポが速いだけかもしれませんが。ピアノは立派ですが、ヴァイオリンは枯れています。弓捌きが闊達とはいかない感じ。これは聴いていてつらいかも。
第2楽章も音量控えめなヴァイオリンでダイナミックレンジが狭いです。逆にこれだけ弾けるのはすごいことなのかもしれません。弱音時は聴かせるものがあります。
第3楽章も枯れた演奏です。昔取った杵柄と言いたいところですが、もう少し若い頃に録音してほしかったですね。ただ、その表現はさすがと思える箇所も少なくないです。ピアノに負けていますが。
第4楽章は速めのテンポ、相変わらず音量小さめです。総じて若かりし頃はさぞやと思わせる演奏でした。
フランク ヴァイオリン・ソナタ
ジーナ・シフ(vn)
キャメロン・グラント(p)
2013年11月
カリフォルニア生まれのジーナ・シフについて詳しいことはわかりませんが、カーティス音楽院のイワン・ガラミアン門下であり、ハイフェッツにも師事したことがあるそうです。ピアニストのグラントについては全くわかりません。
冒頭からしっかりと弾かれているので期待が高まります。この第1楽章は考え過ぎの演奏が多いのです。弱音に固執したり、かすれた音で演奏したりで、がっかりさせられることが多いですから。よく訓練されたヴァイオリンです。
第2楽章も落ち着いた表現で、丁寧に弾かれています。しかし、こんなに冷静な演奏でよいのかという疑問もあります。ストレッタで一瞬燃え上がりますが、再現部では醒めた演奏に戻ります。巧いことは巧いです。コーダはなかなかの迫力です。
第3楽章もテンポが遅めです。聴く方も緊張を維持するのが大変です。第4楽章も遅いですが、この楽章が悪い演奏にはなかなか出会わないです。ジーナ・シフは割と自由に弾いていますが、どの楽章も同じように弾いているので、飽きてしまいました。描き分けというか、もう少し変化が必要でしょう。繰り返しになりますが、巧いことは巧いのです。
フランク ヴァイオリン・ソナタ
上里はな子(vn)
松本和将(p)
2013年11月月29・30日
茨城県,T-TOC STUDIO
【お薦め】
愛知県生まれの上里はな子(1976年-)は「史上二人目となる全日本学生音楽コンクール小中学生の部全国第1位」という経歴の持ち主で、その後も多彩な活動を行っていることはご存知のとおりです。岡山県生まれの松本和将(1979年-)は、上里や向井航と2010年にピアノ・トリオを結成していますので、気心の知れた仲間なのでしょう。
不思議な魅力がある演奏です。解釈が普遍的で、万人に受け入れられやすい演奏でしょう。現代的というより、ひと昔前の名人の表現に似ています。そういう人達の演奏をよく研究したのでしょうか、よく歌う演奏です。自力でこの境地にたどり着いたのだとしたら、大した音楽性の持ち主と言えます。技術に癖があるように思われ、ちょっと甘いかもしれませんが、【お薦め】を付けたいと思います。
松本和将のピアノはタッチがとても美しく、他のピアニストと比べても全く遜色がないどころか、上回っているとさえ思いました。
各感想をもっと簡潔に書こうと思ったのに、結局、長くなってしまいました。以前のYahoo!ブログだったら文字数制限でアウトです。
振り返れば、ちょっと【お薦め】が多くなりましたが、それだけ演奏技術が向上し、また録音も優秀になっているということでしょう。