第11回です。
う~ん、体調不良気味です。良い睡眠が得られていないみたい。昨夜も早く寝たのはいいけれど、変な夢を見てすぐ起きてしまいました。そのせいで昼近くまで寝てしまい、大切な用事をすっぽかしてしまった散々な一日。その締めくくりに新規投稿しておきます。
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
アントン・ナヌート
Anton Nanut
リューブリャーナ放送交響楽団
ナヌートは1932年スロヴェニアのカナルの生まれで、録音が多い割には実態を知られておらず、幻の指揮者とも言われていました。一聴してすぐオーケストラが非力で録音が今一つなのがわかりますが、全体から受ける印象はそう悪くありません。指揮者の実力が高いことがうかがい知れます。提示部の繰り返しは無しです。終始部のトランペットは最後まで主題を演奏します。14分33秒
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ウォルデマール・ネルソン
Woldemar Nelsson
バーデン・バーデン南西放送交響楽団
ステレオ録音ですが音が古い感じがします。それでもジャケットにDDDとあるからデジタル録音なのかな。明らかに情報量不足の音ですね。録音でだいぶ損をしていますが、それを割り引くと演奏はなかなかのようです。テンポも楽器のバランスも悪くなく、W. ネルソンの実力の程がうかがわれます。録音が魅力的でないのが惜しまれます。提示部の繰り返しは無しです。終止部のトランペットはなんと途中で降ります。意外でした。14分59秒
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
サー・ロジャー・ノリントン
Sir Roger Norrington
ロンドン古楽プレイヤーズ
ノリントンが1978年に設立し、1997年まで指揮者を務めたロンドン・クラシカル・プレイヤーズとの録音です。速いテンポとノン・ヴィブラートのいわゆるピュア・トーンによるものです。他の指揮者がぐっとテンポを落とす第2主題も速いです。あれよあれよという間に曲が進行しますが、ビートが効いているので新鮮に感じます。木管楽器、特にファゴットが明瞭に聴き取れるのがありがたく、とにかく一気に聴かせます。提示部のリピートは有りで、終止部はトランペットから木管楽器へと鮮やかに主題が移ります。15分20秒
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
サー・ロジャー・ノリントン
Sir Roger Norrington
シュトゥットガルト放送交響楽団
オーケストラは変わりましたがノリントンのアプローチは基本的に変わっていないようです。そうなるとより徹底していたロンドン古楽プレーヤーズとの録音のほうがよかったかなという気がしてきます。もちろんこの演奏にもノリントンらしさは随所に聴かれ、興味が尽きな演奏であることに変わりありませんが、なんだか終止せかせかしているようで落ち着きません。。主題提示部は繰り返します。終止部のトランペットは途中で木管楽器に主題を引き継ぎます。15分47秒
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ユージン・オーマンディ
Eugene Ormandy
フィラデルフィア管弦楽団
1961年4月
【お薦め】
これが感心するほど立派な演奏なのです。オーケストラはやや明るめですが優秀なアンサンブルで巧いことこのうえなく各パートのソロにも惚れ惚れとします、オーマンディの指揮も堂々として力感に溢れ雄渾で、誠に「英雄」にふさわしい音楽が流れています。かなり厚みのある響きですが、木管が埋没することなく聴こえるのも嬉しいです。なお、オーマンディにはデジタル録音もあるようですがそちらは未聴です。提示部のリピートは無し、トランペットは最後まで主題を堂々と演奏します。14分50秒
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
小澤征爾
Seiji Ozawa
サンフランシスコ交響楽団
1975年5月
【お薦め】
若々しく溌溂としていて瑞々しいベートーヴェンです。ここで小澤征爾は古くからの慣習に染まることなく楽譜から読み取れることのみを真実として「英雄」を再構築しているでようです。サンフランシスコ響も小澤征爾に心服し、申し分のない演奏を聴かせてくれます。そういう意味では人馬一体の非常に気持ちのよい演奏です。主題提示部は繰り返します。終始部のトランペットは最後まで主題を演奏します。16分57秒
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
小澤征爾
Seiji Ozawa
サイトウ・キネン・オーケストラ
1997年4月
サンフランシスコ響との録音とほとんど演奏タイムが変わないのが驚きですが、若々しさは影を潜め、ここではもっと成熟し、落ち着いた表現を聴くことができます。オーケストラも巧いですが、録音が残響多めでこもり気味で、演奏の素晴らしさを十分伝えきれていないように思います。ヘッドホンステレオで聴いたときは良いと思ったのですが、録音で損をしていますね。前回の爽やかさが懐かしく思えのたで、こちらは無印とさせてください。主題提示部は繰り返します。終止部のトランペットは最後まで主題を演奏します。16分54秒
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
カルロス・パイタ
Carlos Paita
スコッティツシュ・ナショナル管弦楽団
冒頭の四分音符をたっぷり鳴らし、ゆったりと始まる「英雄」です。パイタというと爆演系の指揮者とみなされることが多いようですが、ベートーヴェンに対しては自然なアプローチです。かといって全くパイタらしさがないというわけではなく、抑えた表現の中に激性を聴きとることができるでしょう。提示部の繰り返しはありません。15分03秒
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ウラディーミル・ペトロショフ
Vladimir Petroschoff
フィルハーモニック・フェスティヴァル・オーケストラ
レオノーレ第3番と交響曲第5番に、「英雄」の第1楽章だけが組み合わされていました。特に可もなく不可もなく(というか、オーケストラは最低限のレヴェルらし、解釈も平凡だと思う)というところで、このような演奏でも聴けてしまうところに「英雄」の奥深さがあると思います。提示部の繰り返しはありません。14分38秒
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ミハイル・プレトニョフ
Mikhail Pletnev
ロシア・ナショナル交響楽団
2006年6~7月(ライヴ)
モスクワ音楽院大ホール
冒頭の2つの和音は遅めで力強いのに第1主題からいきなり快速テンポとなります。その後も大胆なテンポの急加速・減速、ちょっとした間の取り方、極端なダイナミクスの変化等があり、あの手この手を使ってくるので、とても楽しめます。これだけ個性的な演奏も珍しく、私は本来このような演奏は好まないのですが、大変興味深く聴きました。まるでフルトヴェングラーの壮年期の演奏のようですが、それが感動に直結するかというと、そうでもないのですけれどね。提示部は繰り返します。終止部のトランペットは最後まで主題を演奏します。16分42秒
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
サー・サイモン・ラトル
Sir Siomn Rattle
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
2002年4月29日~5月17日(ライヴ)
ウィーン,ムジークフェラインザール
冒頭1発目の引きずるような和音の開始が印象的なラトルのベートーヴェンです。ウィーン・フィルのサウンド及びヴァイオリン両翼配置が効果的で、全体にしっかりとした骨格としなやかな歌が両立した小気味よい演奏であることが特長です。速めのテンポの中に、いろいろラトルの主張が盛り込まれていきます。その才能が少々鼻につく感じもしますが、これだけ聴かせてくれれば十分でしょう。なお、ベルリン・フィルとのベートーヴェン交響曲全集は未聴です。提示部はリピートしています。終止部のトランペットは途中で降りてしまいます。16分21秒
おまけ
興味あったらクリックしてみてください。