第12回です。
今回は地味な回になってしまいました。【お薦め】は無しです。良い演奏に巡り合えないと、継続する気力が持続しません。「Sc」から始まる次回に期待したいところです。
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
フリッツ・ライナー
Fritz Reiner
シカゴ交響楽団
1955年
この年代でも(やや不自然さがあるものの)ステレオ録音です。演奏は速めのテンポを予想していたら意外にゆったりと始まり、加速・減速を繰り返しつつ、風格のある音楽を構築していきます。迫力も十分で、録音のせいもあってか剛直な印象があります。提示部の繰り返しはなく、トランペットは最後まで主題を演奏します。14分18秒
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ハンス・ヴェルナー・リヒター
Hans Werner Richter
ベルリン・プロ・ムジカ交響楽団
ハンス・ヴェルナー・リヒター(1908-1993年)というドイツの作家・政治家とは別人物のようで、無名の指揮者みたいですし、バッハ演奏で高名なのはカール・リヒターです。録音はモノラルで不安定なのですが、割と鮮明に録れていてます。数ある「英雄」の録音の中からあえてこれを選ぶ必要もないのですが、悪くない演奏です。けして巧い演奏とは言いませんが、不思議とバランスが保たれていて、聴き入るに足るものがあるのです。提示部の繰り返しはありません。14分22秒
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ヨーゼフ・ローゼンシュトック
Joseph Rosenstock
NHK交響楽団
1951年6月14-16日
東京,日比谷公会堂
冒頭にNHKのナレーションが44秒入ります。このNAXOS盤の音質はノイズが多く(エアチェック音源?)、お世辞にも良いとは言い難い(今回の聴き比べでは最悪の)ものですが、演奏の雰囲気は伝わってきます。力強く引き締まった演奏で、ローゼンシュトックの指揮のものと、N響が夢中になって熱演しているのがわかります。音質がもう少しマシだったら【お薦め】にしたでしょう。提示部の繰り返しはなく、終始部のトランペットは最後まで主題を演奏します。13分53秒
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
アレクサンドル・ルディン
Alexander Rudin
ムジカ・ヴィヴァ
アレクサンドル・ルディン(1960年-)は、ロシアのチェロ奏者ですが、指揮もします。この「英雄」はモダン楽器オーケストラによるもののようですが、ピリオド楽器奏法の影響がうかがえますし、減の人数を絞っているようで、どの楽器がどんなことをやっているかがわかる見通しの良さがあります。快速テンポでぐんぐん進んでいくのが心地よいのですが、もう少し何かないの?と言いたくなるのも事実。提示部の繰り返しは行います。終止部のトランペットは途中で主題を演奏しなくなります。15分11秒
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
リコ・サッカーニ
Rico Saccani
ブダペスト・フィルハーモニー管弦楽団
ゆったりとしたよいテンポですが、一音一音を十分伸ばす演奏なので、常に音を引きずっているような鈍い印象があります。ただ、聴き始めてしまえば、そんなに気にならなくて、木管楽器がよく聴こえる気持ちのよい爽やかな音楽に浸ってしまいました。提示部の繰り返しは有り、終止部のトランペットは最後まで主題を演奏します。18分39秒
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ミヒャエル・ザンデルリング
Michael Sanderling
ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
2016年6月
ドレスデン,ルカ教会
クルト・ザンデルリンクの息子であるミヒャエルの指揮による「英雄」です。ショスタコーヴィチの第10番との組み合わせなのがユニーク。力押しせず、微妙なニュアンスを付けながら華麗かつ繊細に歌い上げています。普段聴こえない音型をさりげなく強調したりなど小技もあります。これで風格・貫禄といったものがあったら申し分なかったでしょう。全体的に小奇麗にまとめたという印象があるのです。それでも素直に良い演奏だと思えたのも事実。提示部の繰り返しが有ります。終止部のトランペットは途中まで主題を演奏します。17分20秒
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ユッカ・ペッカ・サラステ
Jukka-Pekka Saraste
スコットランド室内管弦楽団
ミヒャエル・ザンデルリンク盤と演奏時間がほとんど一緒なのに、こちらのほうが速く聴こえます。テンポの変化を大きく取っているとかそういうことがないのにです。不思議です。この演奏も全体にきっちりまとめていると思いますが、小粒な印象は拭えず、物足りなさを覚えます。けして悪い演奏ではないのですが……。主題提示部は繰り返します。終止部のトランペットは途中まで主題を演奏します。17分15秒
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ジョルディ・サヴァール
Jordi Savall
ル・コンセール・デ・ナシオン
1994年1月
カルドナ
古楽器を用いるスペインの室内楽団による「英雄」です。速いテンポであれよあれよという間に提示部が終わります(繰り返し有りです)。弦の人数が少なく、さらに鳴らない楽器であるためか、響きが地味です。木管楽器には鄙びた味わいがあり、金管楽器は時に強烈に響きます。しかし、指揮のサヴァールは素晴らしい音楽家ではあるけれど、これは良い演奏なのでしょうか。少なくとも私が求める「英雄」ではありません。一番最初に聴いた演奏がこれだったら「英雄」を好きになれなかったかも。15分23秒
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
Michael Saxon
The Classical Orchestra
よくわからない指揮者とオーケストラによる録音です。いや、オーケストラじゃないですから(MIDIです)。マクシミアンノ・コブラ/ヨーロッパ・フィルハーモニアと同じ路線ですが、あちらはただ単に遅かったのに対し、こちらは緩急の差がはっきりしています。3拍子が面白いです。オーケストラ演奏では聴き取り辛い和声がきちんと聴けるので勉強にはなりますね。第2楽章なんか別の曲のようです。しかし、「英雄」ならなんでも聴くという聴き方を改めざるを得ないかなって思ったりもします。18分10秒
ちょっと試してみました。こんな具合です。
新しいブログに挑戦するのってなんだか疲れますね。