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Channel: 私が好きな曲(クラシック音楽のたのしみ)
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ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」の名盤(Sh~Sz)

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第14回です。
この回は「(私的)決定盤」が含まれますので、私にとって重要な回となっています。


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ラン・シュイ
Lan Shui
コペンハーゲン・フィルハーモニー管弦楽団
2012年11月
コペンハーゲン,デンマーク王立音楽院コンサート・ホール
【お薦め】
速い、速いです。聴感上の速度では最速の部類です。ただ速いだけでなく、鮮烈な印象があり、清新という言葉が似合う演奏でもあります。それは、細かいオーケストラ・コントロールがあってこその成せる業であり、ラン・シュイはただものではありません。聴く前は大して期待していなかったのですが、聴くほどに魅了され、ずっと浸っていたいと思うようになりました。時間を作ってラン・シュイのベートーヴェン交響曲全集を聴きたいと思います。提示部の繰り返しは有り、終止部のトランペットは途中で降りてしまいます。14分36秒


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ
Stanisław Skrowaczewski
ザールブリュッケン放送交響楽団
2005年1月15,16日(ライヴ)
ザールブリュッケン.コングレスハレ

オーソドックスな解釈ですが、ヴァイオリンが対向配置であり、木管楽器のハーモニーが美しく、オーケストラの響きが魅力的なベートーヴェンで、スクロヴァチェフスキのこだわりを感じます。ただ、聴いているうちになぜか飽きてしまって、スピーカー(自作バックロードホーンからKEFのブックシェルフ型へ)の交換作業を始めたりする始末。辛抱が足りませんね。提示部の繰り返しは有ります。終止部のトランペットは途中で降りてしまい、主題が消えます。16分14秒


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ
Stanisław Skrowaczewski
読売日本交響楽団
2002年9月26日&28日
東京芸術劇場

スクロヴァチェフスキはこだわりの人と認識していたので、前と違ってこの録音の主題提示部が繰り返されないのが気になります。しかし、終止部のトランペットは楽譜どおりです。そういうところが気になります。それにしても、どうも私とスクロヴァチェフスキは相性がよくないみたいで、聴いているうちに退屈してしまい、他のことを始めてしまいます。しかし、録音がもう少し鮮明だったらなおよかったのだけれど、そのせいで地味に聴こえてしまう読売日本響は良いオーケストラだと思いました。13分58秒

スクロヴァチェフスキ指揮 NHK交響楽団 2004年4月9日 東京,NHKホールの録音およびスクロヴァチェフスキ指揮 読売日本交響楽団 2012年9月29日 横浜みなとみらいホールは未聴です。


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
サー・ゲオルグ・ショルティ
Sir Georg Solti
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1959年
ウィーン,ゾフィエンザール

1958年から59年にかけて、ショルティはウィーン・フィルをベートーヴェンの第5番、第7番、第3番を録音したのですが、ちょうどこの頃にワーグナー「ラインの黄金」が録音されており、あれは当時の技術の粋を結集したような録音でしたので、同じ録音会場で行われたベートーヴェンの交響曲も当然優秀録音ということになります。当時の本を読むと、演奏よりも鮮明なステレオ録音(ffss録音)が絶賛されており、これらを当時ステレオで聴いた人は「ステレオはロンドン」と大満足したことでしょう。
テンポはかなりスローなほうで演奏タイムも19分を軽く超えています。ただ、演奏はこれより後のシカゴ響との録音に比べると、楽曲解釈がまだこなれていない感じがしますし、ウィーン・フィルも全て納得して演奏しているわけではないような表情が聴こえ、違和感を覚えないではありません。演奏が精彩を欠いているように思えるのです。それでもffss録音は今聴いてもあまり古さを感じさせませんし、ウィーン・フィルもダイナミックな演奏を披露しています。主題提示部はリピートします。終止部のトランペットは後2種と異なり、最後まで朗々と主題を演奏します。19分18秒


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
サー・ゲオルグ・ショルティ
Sir Georg Solti
シカゴ交響楽団
1973年
シカゴ,メディナ・テンプル
【決定盤】
あれは中学生1年生の頃、FM放送を録音したカセット・テープを整理していた時のことです。そのうちの一本に、録音した記憶が全くない曲が入っていたのですが、私はその曲に夢中になってしまったのでした。これほど中身の詰まった、内容が濃い、充実し切った(長い)音楽はそれまで聴いたことがありませんでした。ある日、名曲中の名曲であるベートーヴェンの交響曲第3番が放送(マズア/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管だったと思う)されるというので聴いてみたところ、謎のテープの正体が「英雄」だったということがわかって大変驚きました。全く予備知識なし(厳密に言えば、そのテープを録音した時点では、「英雄」だとわかっていたはずなのだけれど)で、ベートーヴェンの「英雄」の素晴らしさを理解することができたことで、自分に自信をもったのです。やがてそのテープの演奏者もわかりました。ショルティ指揮シカゴ交響楽団の1973年録音です。偶然だったのですが、最初に買ったLPがそれで、聴いてすぐに同じ演奏であることに気がつきました。そんな思い入れがある演奏です。
シカゴ響の逞しい和音の後、ウィーン・フィル盤同様遅めのテンポで始まりますが、ウィーン・フィルと異なるのは、シカゴ響が実に伸びやかに演奏していることで、ショルティもどっしりと腰を据えて指揮をしており、構成力が高くなっているので聴き応えがあります。中学生の私はここに魅了されたのでしょう。また、ウィーン・フィルが頑張って出していた強音もシカゴ響にはゆとりがあり、その分厚い響きと相俟ってベートーヴェンらしい重厚な音響を創出しています。この録音も演奏タイムは19分を超える長いものですが、私には少しも長さを感じさせません。いつまでもこの音楽に浸っていたいと思わされます。ただ、CD(私が持っているのは全集BOX輸入盤)はLPに比べて音が硬い感じがし、できればSACD、ハイレゾでこれを聴きたいというのが切なる思いです。
主題提示分の繰り返しはあります。終止部のトランペットは途中で主題を吹くのを止め、あとは木管楽器が引き継ぎます。19分39秒


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
サー・ゲオルグ・ショルティ
Sir Georg Solti
シカゴ交響楽団
1989年11月14-16日
シカゴ,オーケストラ・ホール
【お薦め】
前回録音から16年後、ショルティの再々録音はデジタル収録です。前2種の録音よりテンポが速くなっており(それでも一般的には普通の速さ)、普遍的な名演に仕上がりました。ショルティも再々録音なので前と同じでは意味がないと思い、違う演奏を試みたのでしょうか。この演奏も大編成なのですが、各パートが明瞭に聴きとれる録音であるのは前回と同様、内声部の充実がぎゅっと詰まった響きを生み出しており、聴いていて実に心地よいです。ただ、旧録音のような明るさや伸びやかさがない分、どこか余裕がない感じもして、落ち着いて聴けないのが欠点です。主題提示部はリピートしています。終止部のトランペットが途中で主題を木管楽器に譲るのは旧録音と同様で、ここはショルティのこだわりなのでしょう。17分57秒


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ペーター・シュタンゲル
Peter Stangel
タッシェン・フィルハーモニー
2014年1月23日・7月2日
ミュンヘン

史上最小のオーケストラと言われているタッシェン・フィルハーモニーによる「英雄」です。編成がわからないのですが、聴感上は弦楽器などかなり少なめ(各パート1人?)で、室内楽を聴いているような感覚です。全てのパートがきちんと聴こえ、発見もありますが、音が大きくなる箇所では弦の少なさが災いしてあまり盛り上がりません。主題提示部は繰り返します。終止部のトランペットは途中で木管に主題を譲りますが、期待したほどスムーズな受け渡しではなく、やはりここはベートーヴェンの作曲に無理があったのだなと思いました。14分32秒


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ホルスト・シュタイン
Horst Stein
バンベルク交響楽団
1984年4月
【お薦め】
これは私のお気に入りの演奏で、取り出すことが多いCDです。特に強い個性がある演奏ではないけれど、全ての部分が申し分なく、安心して聴くことができます。特に素晴らしいのがオーケストラの各楽器のバランスで、木管楽器が明瞭に聴こえるのが良く、特にフルートがよく聴こえるところがポイント高いです。テンポも速からず遅からずでちょうどよい加減であり、大きく揺らすことがなく、指揮者の主観は控えめで楽曲の素晴らしさをそのまま伝えてくれるところがありがたいです。初めは【決定盤】にしようと思っていましたが、あまりにも中庸過ぎるので、【お薦め】どまりにしたいと思います。主題提示部は繰り返します。終止分のトランペットは最後まで主題を演奏しています。17分42秒


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ホルスト・シュタイン
Horst Stein
ベルリン・ドイツ交響楽団
2000年4月24日(ライヴ)
ベルリン,コンツェルトハウス(シャウシュピールハウス)

バンベルク響との録音を「中庸過ぎる」と書いてしまいましたが、こちらはさらにオーケストラが地味めな音色であり、聴いた後、あまり印象に残らない演奏でしょう。テンポもぐっと遅くなり、そうなると曲の長さが気になってしまいます。とはいえ、シュタインの持ち味のひとつであるバランスの良さは変わらずで、録音がもう少し明晰にオケの響きを捉えていたならば、もう少しイメージが変わったかもしれません。だいぶ大人しい録音です。提示部の繰り返しがあり、終止部のトランペットは最後まで主題を演奏します。19分16秒


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ウィリアム・スタインバーグ
William Steinberg
ピッツバーグ交響楽団
1963年
ピッツバーグ,軍人会館

1961年から65年にかけて録音した交響曲全集の中の一曲です。高音が強調された録音が気になります(入手した音源がモノラル録音なのががっかりです)が、それはさておき、やや遅めの良いテンポの「英雄」です。一音一音をしっかり弾かせているという感じで、その他に書くべきこともなく、困ってしまう演奏です。もう少し録音がよかったら印象も変わったでしょう。提示部の繰り返しはなく、終止部のトランペットは最後まで主題を演奏します。14分58秒


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
レオポルド・ストコフスキー
Leopold Stokowski
ロンドン交響楽団
1974年

私は一度も使ったことがありませんが、演奏批評に「外連味」という言葉が用いられることがあります。外連味とは「 ハッタリやごまかしを利かせた様」のことで、「外連味たっぷり」とか「外連味のない」と言ったりします。何が言いたいかというと、ストコフスキーという指揮者に対して私が抱くイメージは「外連味」であり、この演奏は「外連味のない」演奏であったということです。かといって無味乾燥したものではなく、遅めのテンポでたっぷりとメロディを歌わせています。ただ、それ以上の何かがあるかというと、ストコフスキーでなければならないものはなく、私の乏しい語彙ではうまく表現できないのですが、至極真っ当な「英雄」らしい演奏でありました。ところで、現代オーケストラの楽器配置はストコフスキーが考案したそうですが、この演奏はヴァイオリン対向配置(コントラバスは向かって右側であることを付け加えておきます。主題提示分の繰り返しはなく、終止部のトランペットは堂々と主題を演奏します。15分38秒


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
オトマール・スウィトナー
Otmar Suitner
シュターツカペレ・ベルリン
1980年6月23-25日(ライヴ)
東ベルリン.キリスト教会
【お薦め】
このCDは購入した記憶がないので、おそらく「ぐるぐる」なる交換会で譲り受けたものでしょう。頂いたCDにケチをつけるわけにはいきませんが、これがなかなか良い演奏で、思わず聴き入ってしまいました。まず響きがベートーヴェンに良く合った、ちょっとくすんだ感じのする色合いで、重厚さ・迫力も十分、楽器のバランスも良好、旋律はよく歌われ、どこもかしこも申し分のない演奏です。指揮者にもう少し個性を求めたくなりますが、それはないものねだりかもしれません。この演奏も控えめなヴァイオリン対向配置(バスは右側奥)でした。主題提示部の繰り返しはありません。終止部のトランペットは木管に主題を譲ります。14分59秒


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ジョージ・セル
George Szell
クリーヴランド管弦楽団
1957年
クリーヴランド,セヴェランス・ホール
【決定盤】
故吉田秀和先生が「LP300選(新潮文庫)」の中で「ベートーヴェンの交響曲全曲盤は、(略)私が揃えるとしたら、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団のセットにするだろう。こんなにベートーヴェンの仕事を私心なく、しかも完全に音に入れ込んでいるものはないと思う。」と述べられていたことを思い出します。だからというわけではありませんが、この「英雄」は私の愛聴盤のひとつです。指揮者もオーケストラも楽曲を理想的に再現することに(5分2秒で指揮者の唸り声のようなものが聴こえるけれど)専念しており、ただただ音楽の素晴らしさだけが伝わってくるという演奏です。ただ単に正確に演奏すればよいというものではなく、セル/クリーヴランド管だからこそ到達できた世界でしょう。このCDの唯一といっていい欠点は録音が古いことですが、これ以下の録音はいっぱいありますので、不満というほどのことはありません。主題提示部の繰り返しは無く、終止部のトランペットは最後まで主題を演奏します。14分54秒


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ジョージ・セル
George Szell
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
1963年
ザルツブルク音楽祭

1963年にザルツブルク音楽祭にチェコ・フィルが初めて登場したときのライヴです。オーケストラは違えどもセルの基本的な解釈は変わっていません。クリーヴランド管との録音で書いたことが、そのまま当てはまりますが、世界最高のアンサンブルと言われたクリーヴランド管に比べると、チェコ・フィルは演奏精度が劣りますし、ミスもあります。その分、人間らしいというか、人懐っこい響きには味わい深いものがあります。また、ライヴ録音なので指揮者ともども感興の豊かさがあり、傾聴するに足る演奏と思います。残念ながらモノラルですが、鑑賞には差し支えない程度の録音です。提示部の繰り返しは無く、終止部のトランペットは最後まで主題を演奏します。15分20秒


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ジョージ・セル
George Szell
クリーヴランド管弦楽団
1967年5月11日(ライヴ)
クリーヴランド,セヴェランス・ホール

クリーヴランド管とのステレオ・ライヴということで注文したのですが、いつ届くのかわかりません。入手したら感想を追記したいと思います。


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