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Channel: 私が好きな曲(クラシック音楽のたのしみ)
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ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」の名盤(Te~Vr)

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第15回です。
「英雄」第1楽章の聴き比べも、あともう少しで終わります。


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
クラウス・テンシュテット
Klaus Tennstedt
北ドイツ放送交響楽団
1979年7月3-6日(ライヴ)
ハンブルク,北ドイツ放送スタジオ10
【お薦め】
後述するロンドン・フィルとのセッションより、こちらのライヴのほうが録音が優れているように思えるので、演奏の印象もすこぶる良いです。オーケストラも北ドイツ放送響のほうが優秀で、木管楽器の美しい音色に心を奪われます。Wikipediaによると、テンシュテットは特にドイツ・オーストリアの楽団との折り合いが悪く、北ドイツ放送響の音楽監督に就任するも、楽団員・事務局との関係が険悪であったとのこと。しかし、この演奏はそんなことを微塵も感じさせない力演です。テンシュテットの解釈自体はロンドン・フィルとのものと基本的に変わっていないので、そちらもご参照ください。主題提示部の繰り返しはなく、終止部のトランペットは最後まで主題を演奏します。14分42秒

なお、ウィーン・フィルとの1982年8月29日(サルツブルク,祝祭劇場)ライヴは未聴です。


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
クラウス・テンシュテット
Klaus Tennstedt
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
1991年9月・10月(ライヴ)
【お薦め】
すぐにこれは良い演奏とわかります。少し遅めのテンポが良いですし、細部も程よく彫琢されていて気持ちのよい演奏です。バランスが整っているというのは「英雄」の演奏にとって重要なことだと思います。しかし、一本調子ではなく、時には金管が叫びますし、ティンパニがここぞというときにちゃんと鳴ってくれます。これで録音がもう少しさっぱりとした響きであったならなおよかったと思うのですが、ややソフトでこもった感じがするが残念です。主題提示部の繰り返しはありません。終止部のトランペットは朗々と主題を演奏しています。15分05秒


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
クリスティアン・ティーレマン
Christian Thielemann
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
2009年3月(ライヴ)
ウィーン,ムジークフェラインザール

ブルーレイで視聴。高画質・高音質でベートーヴェンの交響曲を鑑賞したくて、飛びついて購入(中古ですけれどね)したものの、一回しか再生していません。今回、久しぶりに視聴したのですが、画像は美しいと思うものの、演奏はあまりよいとは思えませんでした。この録画に限らず、ティーレマンが指揮した演奏に感動した経験がないのです。オーケストラは昔ながらのベートーヴェンで、編成が大きく(ヴァイオリン両翼配置・コントラバスは最後列に8挺!)、リタルダンドをかけてテンポをぐっと落とすやり方が古風な感じがして、それが悪いとは言わないし、この時代では貴重な演奏なのかもしれないけれど、なぜかティーレマンの指揮だと抵抗があるのです。私とは相性が悪いとしか思えません。提示分は繰り返し有り、トランペットは最後まで主題を演奏します。19分24秒


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ピーター・ティボリス
Peter Tiboris
ボフスラフ・マルティヌー・フィルハーモニック

知らない指揮者に知らないオーケストラです。遅めのテンポと、両翼配置、しっかり打ち込まれるティンパニ以外は特筆すべきことがない実直な演奏で、録音もいまひとつ冴えないのですが、それでも最後まで(なんとか)聴くことができるのは、「英雄」が偉大な作品で(今回の聴き比べが第1楽章だけで)あるからでしょう。提示部の繰り返しは無く、終止部のトランペットは最後まで主題を演奏します。15分58秒


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
マイケル・ティルソン・トーマス
Michael Tilson Thomas
セントルークス管弦楽団
1986年

マイケル・ティルソン・トーマス(以下、MTTといいます。)は大好きな指揮者です。これはMTTがイギリス室内管弦楽団 、セントルークス管弦楽団 、ロンドン交響楽団の3つのオーケストラを指揮したベートーヴェン交響曲全集の一曲です。小編成オケならではの見通しのよさ(もっと木管楽器は聴こえてほしいが)、瑞々しい響きが魅力的ですが、これより編成が大きいオケでのアプローチをそのまま持ってきた、ただ単に編成が小さいだけの演奏にとどまっているところが、ピリオド・オケの演奏に比べて中途半端な印象を与えます。この時代としては先駆的であったのかもしれませんが、今聴くと、そう思ってしまうのです。録音も細部を克明に捉える方向であったら、この演奏の良さを発揮できたでしょう。主題提示部はリピート有り、終止部のトランペットが最後まで主題を吹いてしまうのも感心しません。16分51秒


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
マイケル・ティルソン・トーマス
Michael Tilson Thoman
サンフランシスコ交響楽団
2004年5月13-15日
サンフランシスコ,デイヴィス・シンフォニー・ホール
【お薦め】
かなりテンポが速くなりました、前回と演奏時間はそれほど変わりません。MTTの解釈も大きく変わっていないのですが、今回はかなりデッドな響きと細部まで聴きとれる録音が効果的です。SFSの室内楽的精度の磨き上げられたアンサンブルが心地よく、配置も前回と同じ両翼配置(コントラバスは向かって右側)なのが、展開部では有効です。表現は、前回は全体に単調だったのですが、今回は速度や強弱の変化が大きくなり、いわゆる巨匠風の音楽づくりとなっています。このコンビによるベートーヴェンの交響曲が(現時点では)全集化されていないことを心から惜しみます。提示部は繰り返し有り、終止部のトランペットは途中で主題の演奏を止めますので、主題が消えて無くなります。16分39秒


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ゲオルク・ティントナー
Georg Tintner
ノヴァ・スコシア交響楽団
Symphony Nova Scotia
1988年5月(ライヴ)

わが国ではブルックナー指揮者として一躍有名になったティントナー指揮の「英雄」です。力強くキレのよい和音の後、すごくのんびりしたムードで第1主題が奏でられます。一音たりともおろそかにしないという感じですね。ヴァイオリンは左右両翼配置(バスは向かって左側)ですが、このテンポだと聴き取りやすいですね。ただ、あまりに遅いので、聴いている間、いろいろ考え事をしてしまいました。カッコに入る前、他の演奏に比べて1小節多く聞こえるのですが、主題提示分は繰り返しは有りです。終止部のトランペットは途中で主題を降りて木管に譲ります。19分42秒


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
アレクサンドル・ティトフ 
Alexander Titov
サンクトペテルブルク音楽院管弦楽団

録音は少し古めのステレオ録音ですが、悪くありません。演奏はなかなか良いと思います。デュナーミク、アゴーギク、アーティキュレーション、いずれも大きくはみ出さず、かといって消極的でもなく、それでいて違和感がありません。全く期待しないで聴き始めたので、思わぬ拾い物をしたという気分です。、提示部の繰り返しはなく、終止部のトランペットは最後まで主題を演奏します。15分01秒


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
アルトゥーロ・トスカニーニ
Arturo Toscanini
NBC交響楽団
1949年11月28日・12月5日
ニューヨーク,カーネギー・ホール
【決定盤】
大指揮者トスカニーニが残した「英雄」は複数あって手持ちに加えて何点か音源を入手できたのですが、どれがいつの録音だかよくわからないのです。したがってトスカニーニ・ファンの方には申し訳ないのですが、録音年月日がはっきりわかる、これのみを取り上げることにしました。トスカニーニは私が最も尊敬している指揮者でもあるので心苦しいです。
冒頭の和音からエネルギーに満ちた白熱のライヴが始まります。和音の連続は渾身の打撃、ティンパニは慟哭のように打ち込まれます。変ホ長調の曲なのになぜか悲劇的、短調になると壮絶な悲愴感に支配されます。他の演奏が生ぬるく思えてしまうほど、並々ならぬ気迫に溢れた演奏に圧倒される時間。こうなると録音がどうとかどうでもよいことのように思われます。これが「英雄」の真の姿なのかも。
提示部は繰り返していません。終止部のトランペットは主題を叫び続けます。大変充実した14分10秒でした。


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
タマーシュ・ヴァーシャーリ
Vásáry Tamás
ハンガリー放送交響楽団
(ライヴ)

ハンガリー読みではヴァーシャーリ・タマーシュですが、素晴らしいピアニストであったのに、指揮者としての活動が多くなってしまったようで、個人的にはとても残念に思っています。とはいえ、指揮者としてのヴァーシャーリはけして捨てたものではなく、この「英雄」も小細工なしの正統派路線で立派な音楽を作り上げています。録音会場が少し響き過ぎてもやもやしているのが難点で、もう少し残響時間が短かったら、印象が変わったでしょう。提示部は繰り返しておらず、終止部のトランペットは最後まで主題を演奏します。15分13秒


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ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
ヤン・ヴィレム・デ・フリエンド
Jan Willem de Vriend
ネザーランド交響楽団
(ヘット・オーステン管弦楽団)
2010年
【お薦め】
フリエンドには斬新な何かを期待してしまいますが、コンバッティメント・コンソート・アムステルダムによる演奏ではなく、モダン・オケを指揮しての演奏となります。音楽が実にフレッシュで、軽快でフレッシュなサウンドに魅了されます。予想に反してピリオドっぽい演奏ではなく、あくまで現代のオーケストラによる理想的なベートーヴェンを目指したというところでしょう。テンポも妥当なところで、木管や金管と弦・打楽器のバランスにも入念な注意が払われおり、バランスが良好です。録音が優秀なのも嬉しいです。主題提示部は繰り返し、終止部のトランペットは途中で主題を木管に譲ります。16分47秒


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