不思議です。なぜ自分がこのチケットを取ったのか全く憶えていません。トゥーランガリラ交響曲は特に好きな曲というわけでもないし、パーヴォ・ヤルヴィの才能は認めますが、特に好きな指揮者というわけでもないのです。しかも家から遠いオーチャードホールです。
第104回 オーチャード定期
2019年6月22日(土)15:30開演
Bunkamuraオーチャードホール
ロジェ・ムラロ(ピアノ)
シンシア・ミラー(オンド・マルトノ)
NHK交響楽団
パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)
ヤルヴィ/N響は、6月19・20日の第1917回定期公演Bプログラム(サントリー・ホール)でもトゥーランガリラ交響曲を演奏しており、本公演が3日目となります。
結論から申し上げれば、私の、この音楽に対する理解があと一歩だったので、ヤルヴィ/N響の演奏がよかったのかどうかわかりませんが、おそらく名演であったのでしょう。少なくとも「第6楽章 愛のまどろみの庭」はとても美しかったです。実演で「トゥーランガリラ交響曲」を聴くという貴重な経験を得ることができました。
以下、楽曲紹介はWikipediaによります。
オリヴィエ・メシアン
トゥーランガリラ交響曲(La Turangalîla-Symphonie)
Messiaen: Turangalîla-Sinfonie ∙ hr-Sinfonieorchester
Paavo Järvi
第1楽章 序章 Introduction
第2楽章 愛の歌1 Chant d'Amour 1
第3楽章 トゥーランガリラ1 Turangalîla 1
第4楽章 愛の歌2 Chant d'Amour 2
第5楽章 星たちの血の喜悦 Joie du Sang des Étoiles
第6楽章 愛のまどろみの庭 Jardin du Sommeil d'Amour
第7楽章 トゥーランガリラ2 Turangalîla 2
第8楽章 愛の敷衍 Développement d'Amour
第9楽章 トゥーランガリラ3 Turangalîla 3
第10楽章 終曲 Final
木管楽器:
ピッコロ1、フルート2、オーボエ2、コーラングレ1、クラリネット2、バスクラリネット1、ファゴット3
金管楽器:
ホルン4、ピッコロトランペット(D管)1、トランペット(C管)3、コルネット(B♭管)1、トロンボーン3、チューバ1
独奏楽器:
ピアノ、オンド・マルトノ
鍵盤楽器:
ジュ・ド・タンブル(=鍵盤式グロッケンシュピール)、チェレスタ、ヴィブラフォン、チューブラーベル
※演奏会では、最前列に右からオンド・マルトノ、ピアノ、チェレスタ、ジュ・ド・タンブルが並んでいました。チェレスタとジュ・ド・タンブルは見ただけでは区別がつきません。同じような音色だし。
打楽器:(8人の打楽器奏者で分担)
第1奏者:バスドラム
第2奏者:プロヴァンス太鼓、スネアドラム
第3奏者:テンプルブロック3、マラカス
第4奏者:マラカス、トライアングル、タンブリン
第5奏者:タンブリン、ウッドブロック
第6奏者:クラッシュシンバル、サスペンデッド・シンバル
第7奏者:サスペンデッド・シンバル、小シンバル、チャイニーズ・シンバル
第8奏者:小シンバル、チャイニーズ・シンバル、タムタム
※オーケストラの最後列にずらりと打楽器奏者が並んでいるのはなかなか壮観です。
弦楽器:
1stヴァイオリン16、2ndヴァイオリン16、ヴィオラ14、チェロ12、コントラバス10
予習のため、以下の4種類の演奏を聴きました。
メシアン:トゥーランガリラ交響曲
イヴォンヌ・ロリオ(ピアノ)
ジャンヌ・ロリオ(オンド・マルトノ)
パリ・バスティーユ管弦楽団
チョン・ミュンフン(指揮)
1990年10月
パリ,バスティーユ歌劇場
Wikipediaによると「1990年に一部が改訂された。これは、自分の死後も作品が『正しく』演奏されるように、とのメシアン自身の意向から、指揮者への指示の書き込みを中心とした加筆である。チョン・ミョンフン指揮パリ・バスティーユ管弦楽団による同曲のレコーディングにアドヴァイザーとして参加したことがそのきっかけといわれている。この改訂に基づき、出版譜も直ちに改訂版に差し替えられた」のだそうです。つまり、作曲者メシアン監修の演奏ということになるのでしょうか、そのような信頼感もあり、この曲はこう演奏すべしというお手本のような演奏になっています。色彩感も十分で、まずはこのCDを選べば間違いないというところです。
メシアン:トゥーランガリラ交響曲
ジャン=イヴ・ティボーデ(ピアノ)
原田 節(オンド・マルトノ)
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
リッカルド・シャイー(指揮)
1992年3月
アムステルダム,コンセルトヘボウ
オーケストラの性格なのか、チョン・ミュンフン盤に比べるとかっちりしている印象があります。シャイーはシェーンベルクの「グレの歌」でも見事な演奏を聴かせてくれた指揮者ですから、トゥーランガリラ交響曲もお手の物です。DECCAの録音がこの曲のオーケストレーションの隅々まで捉えているので予習にぴったりでした。この曲に関してはチョン・ミュンフン盤と双璧と言いたい出来栄えです。
メシアン:トゥーランガリラ交響曲
ミシェル・ベロフ(ピアノ)
ジャンヌ・ロリオ(オンド・マルトノ)
ロンドン交響楽団
アンドレ・プレヴィン(指揮)
1977年7月
ロンドン、アビー・ロード第1スタジオ
プレヴィンはこのような曲を指揮させても上手ですね。語り口の巧さが光ります。惜しいのは録音で、せっかくベロフを起用しているのに、ピアノの音が遠く感じることです。この曲はピアノとオンド・マルトノのための協奏曲といった性格もあるので、ピアノの音が小さいのは減点です。この頃のベロフのピアノをもっと聴きたかった。
以上が「最新版 名曲名盤500」のベスト3です。
メシアン:トゥーランガリラ交響曲
イヴォンヌ・ロリオ(ピアノ)
ジャンヌ・ロリオ(オンド・マルトノ)
トロント交響楽団
指揮:小澤征爾
1967年12月
トロント,マッシー・ホール
若き小澤征爾の代表的な録音のひとつと思うのですが、「最新版 名曲名盤500」には登場しません。ピアノとオンド・マルトノは初演者の2人で申し分ありませんでし、聴いておきたい名盤としてご紹介することにしました。しかし、さすがに1967年の録音は古さを感じさせますし、「トゥーランガリラ交響曲」の改訂版は1990年に出版されているので、この曲を聴くのであればそれ以降に録音されたCDを選ぶのがよいのかもしれませんね。