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Channel: 私が好きな曲(クラシック音楽のたのしみ)
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ヴェルディ「イル・トロヴァトーレ」の名盤

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ワーグナーと同じ年に生まれたヴェルディですが、いざ書こうとして困るのは、ヴェルディは作品数が多いのです。「オベルト、サン・ボニファーチョ伯爵」から「ファルスタッフ」まで28作品もあります。その中で、一番最初はどれにしようかと考えていたら、ある会話を思い出しました。

M:ハルコウさんはオペラに詳しい?
私:なんでも聞いて。教えてあげるよ!
M:母が出演(※)したオペラの題名が思い出せないの。
私:どんなオペラ?
M:占い師が出てくるオペラ。
私:わかった! それは「カルメン」だね?
M:「カルメン」じゃないと思う。
私:ジプシーが出て来たでしょ?
M:うん、ジプシーがいっぱいいた。
私:じゃあ、やっぱり「カルメン」だよ!
M:……。
(※アンヴィル・コーラスと思われる)

違います。今ならわかる。でも、アズチェーナは占い師じゃないよね?


ジュゼッペ・ヴェルディ 「イル・トロヴァトーレ」


主な登場人物
マンリーコ:吟遊詩人(トロヴァトーレ)
レオノーラ:アラゴン侯爵夫人付きの女官
ルーナ伯爵:アラゴン地方の若い貴族。レオノーラ獲得に燃える
アズチェーナ:ビスカイヤ生まれのジプシー女
フェルランド:ルーナ伯爵の家臣。衛兵頭
イネス:レオノーラの侍女
ルイス:マンリーコの部下
老ジプシー
使者



イメージ 1

ヘルベルト・フォン・カラヤン
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団

マンリーコ:ジュゼッペ・ディ・ステファノ
レオノーラ:マリア・カラス
ルーナ伯爵:ロランド・パネライ
アズチェーナ:フェドーラ・バルビエリ
フェランド:ニコラ・ザッカリア
ルイス:レナート・エルコラーニ
使者:レナート・エルコラーニ
老ジプシー:ジュリオ・マウリ

1956年8月3,4,6-9日(モノラル録音)
ミラノ、スカラ座

今回2番目に聴いたCDです。
マリア・カラスで有名な録音ですが、たとえマリア・カラスでなかったとしても十分名演だと思います。レオノーラという役に、カラスの声は合っていないような気もするのですが、もちろん感情表現などは素晴らしいと思っています。
カラスと組むことが多い、ディ・ステファノがマンリーコを歌っていますが、若々しい熱唱で、この頃が絶頂期だったのでしょう。
パネライは、悪くはないですけれど、もうちょっと脂ぎった、ギラギラした感じのルーナ伯爵を期待しているので、やや物足りないです。
バルビエリのアズチェーナは声楽的に物足りなさがありますが、やや年を取ったジプシー女としてはこれぐらいでちょうどよいのかもしれません。
カラヤンの指揮は、オケとが合唱がスカラ座ということもあって、歌手を引き立てた伴奏となっています。切れ味のよい若々しい音楽づくりで申し分ありません。



イメージ 2

アルベルト・エレーデ
ジュネーヴ大劇場管弦楽団
フィオレンティーノ・マッジオ・ムジカーレ合唱団

マンリーコ:マリオ・デル・モナコ
レオノーラ:レナータ・テバルディ
ルーナ伯爵:ウゴ・サヴァレーゼ
アズチェーナ:ジュリエッタ・シミオナート
フェルランド:ジョルジョ・トッツィ
ルイス/使者:アトス・チェザリーニ
イネス:ルイザ・マラリアーノ
老ジプシー:アトス・バルビ

1959年2月
ジュネーヴ大劇場

マンリーコがデル・モナコ、レオノーラがテバルディ、アズチェーナがシミオナートという歌手陣なので、是非聴いてみたいと思っているのですが、未入手・未聴です。いつか聴く日のために、スペースを空けておきます。



イメージ 3

ヘルベルト・フォン・カラヤン
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン国立歌劇場合唱団

マンリーコ:フランコ・コレッリ
レオノーラ:レオンティーン・プライス
ルーナ伯爵:エットーレ・バスティアニーニ
アズチェーナ:ジュリエッタ・シミオナート
フェルランド:ニコラ・ザッカリア
使者:クルト・エクヴィルツ 
イネス:ローレンス・デュトワ
ルイス:ルドルフ・ツインマー
老ジプシー:ジークフリート・ルドルフ・フレール

1962年7月31日(ライヴ・モノラル録音)
ザルツブルク、祝祭大劇場

今回4番目に聴いた演奏です。
次のセラフィン盤と共通ですが、ルーナ伯爵にエットーレ・バスティアニーニを起用しています。44歳という若さで亡くなったバスティアニーニが、ベストの状態で活躍していたのは1952~1962年という短い期間かもしれませんが、その歌唱は特にヴェルディ作品において優れていました。
アズチェーナは、イタリア最高のメゾと言われたジュリエッタ・シミオナート、あるいは、シミナートの後継者と呼ばれていたフィオレンツァ・コッソットが理想です。
マンリーコとレオノーラはお好みで選ぶしかないと思いますが、歌手の充実度はこのカラヤン盤と次のセラフィン盤ということになります。
ニコラ・ザッカリアのフェルランドは、少し年老いた家臣という印象。ローレンス・デュトワのイネスは可憐な侍女。
レオンティーン・プライスの当たり役であるレオノーラは、最初は貫禄がありすぎるように思いましたが、第四幕など圧巻の歌唱を聴かせてくれました。
エットーレ・バスティアニーニのルーナ伯爵は、次のセラフィン盤よりもこちらのほうが声がよく響いているようで、感情表現も含めて立派だと思います。これにフランコ・コレッリを加えた三重唱は迫力があります。
ジュリエッタ・シミオナートのアズチェーナは、セラフィン盤のコッソットが声の威力で聴かせたのに対し、細やかな感情表現と素晴らしい声とテクニックで聴かせ、このほうがアズチェーナらしいです。
フランコ・コレッリのマンリーコは、声が軽すぎず、輝かしく、感情の起伏が大きいのが特長です。ライヴゆえの瑕疵はありますけれど。
カラヤンの指揮はオーケストラを雄弁に歌わせ、緩急の差を大きく取り、ダイナミックで情熱的。オケの音が大き過ぎるときも多いのですが、聴く側の興奮を嫌がが応でも高めてくれます。いや、一番興奮しているのはカラヤンかもしれません。
モノラル録音ですし、演奏に瑕疵Jもありますので、最初に購入するCDとしてはお薦めしません。



イメージ 4

トゥリオ・セラフィン
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団

マンリーコ:カルロ・ベルゴンツィ
レオノーラ:アントニエッタ・ステッラ
ルーナ伯爵:エットーレ・バスティアニーニ
アズチェーナ:フィオレンツァ・コッソット
フェルランド:イヴォ・ヴィンコ
ルイス:フランコ・リッチャルディ
イネス:アルマンダ・ボナート
老ジプシー:ジュゼッペ・モレーシ
使者:アンジェロ・メルクリアーリ

1962年7月
ミラノ、スカラ座

今回3番目に聴いたCDです。
指揮がセラフィンであること、名歌手を揃えていることから、このCDは決定盤候補でした。私が所有しているCDの中でも最も古い部類に入りますし、このオペラはこの演奏さえあれば他は要らないと思ってていました。
まずフェルランドのイヴォ・ヴィンコが立派な声です。
アントニエッタ・ステッラは、レオノーラが彼女のデビュー役でした。この録音でも美声と技巧を駆使し、レオノーラにふわさしい素晴らしい歌唱を聴かせてくれます。バスティアニーニのルーナ伯爵は、低音から高音までむらのない美声の素晴らしさ。嫉妬と情熱の伯爵にぴったりで、気品のある憎ったらしさを巧みに演じています。
アズチェーナのフィオレンツァ・コッソットも、この頃はまだ27歳で、抜擢されたというべきでしょうが、堂々としたもので瑞々しく美しい歌唱です。声の威力と存在感が違います。
カルロ・ベルゴンツィは正統的ベルカント唱法によるイタリア屈指のドラマティック・テノールと言われた人で、ヴェルディをレパートリーにしていた人ですから、悪かろうはずがありません。でも、もっと魅力的なマンリーコもいるでしょう。
この演奏がDeutsche Grammophonの優秀な録音で残されて良かったです。



イメージ 5

トーマス・シッパーズ
ローマ歌劇場管弦楽団&合唱団

マンリーコ:フランコ・コレッリ
レオノーラ:ガブリエッラ・トゥッチ
ルーナ伯爵:ロバート・メリル
アズチェーナ:ジュリエッタ・シミオナート
フェランド:フェルッチョ・マッゾーリ
ルイス:アンジェロ・メルクリアリ
イネス:ルチアーナ・モネータ
老ジプシー:マリオ・リナウド

1964年7月、8月
ローマ歌劇場

この演奏も歌手陣が揃っていますし、「トロヴァトーレ」の名盤のひとつなので聴いてみたいとは思っているのですが、まだ入手していません。ジャケットと演奏者のご紹介にとどめておきます。



イメージ 6

アントニオ・パッパーノ
ロンドン交響楽団
ロンドン・ヴォイセズ(合唱)

マンリーコ:ロベルト・アラーニャ
レオノーラ:アンジェラ・ゲオルギュー
ルーナ伯爵:トーマス・ハンプソン
アズチェーナ:ラリッサ・ディアドコヴァ
フェルランド:イルデブラント・ダルカンジェロ
ルイス:Enrico Facini
イネス:Federca Proietti
老ジプシー:Riccardo Simonetti
使者:Andrew Busher

2001年8月28日-9月1日
ロンドン、アビー・ロード第1スタジオ

今回1番目に聴いたCDです。
最初に聴いたCDは感想が甘くなります。他のCDを聴き返していないからです。
率直な感想としては、できるだけ新しい録音のCDがほしい、という人はこれでいいんじゃない?というところです。新しいといっても今年は2017年ですから、もう16年も経ってしまっているんですね。光陰矢の如しです。
個人的には、アズチェーナを歌っているディアドコヴァが良いと思います。
アラーニャは最高音を限界まで引っ張るなど熱唱ですが、ちょっとイメージが違う気もします。
ゲオルギューのレオノーラも巧いのですが、声が重く暗く、レオノーラが老けてしまったような印象があります。
ハンプソンのルーナ伯爵も優等生的ですが、これはこれで役に合っているかもしれません。
パッパーノの指揮は快適なテンポのノリの良さが心地よく、このオペラには合っていると思います。


明日から実家に帰ります。


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