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Channel: 私が好きな曲(クラシック音楽のたのしみ)
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ヴェルディ「アイーダ」の名盤

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夏らしいオペラ!ということで、8月13日から「アイーダ」を聴いていました。7月は夏らしかったけれど、今年の8月はあまり夏らしくないですね。雨の日が多く、海とか山に行く気候ではなかったです(晴れていても行かないけれど)。日没も毎日少しずつ早まって、夏が終わっていく、という感じの今日この頃です。仕事も忙しくて、ぐったりの土・日曜日、パソコンに向かって記事を書く気力がなく、文章が全然思い浮かばないのですが、なんとか書いてみました。でも「アイーダ」って、魅力的な音楽ですね。もう数セット、CDを買ってもいいかなと思いました。


ジュゼッペ・ヴェルディ 歌劇「アイーダ」


アイーダ(20歳):エチオピアの王女だが、アムネリスの奴隷。ラダメスが好き
ラダメス(24歳):神託によりエジプト軍司令官に任ぜられる。アイーダが好き
アムネリス(20歳):ファラオの娘。ラダメスが好きなので、アイーダが憎い
アモナスロ(40歳):エチオピアの国王なのに自ら兵を率いて陣頭指揮
エジプト国王(45歳):ファラオともいう。善い王様のようだが、戦好き?
ランフィス(50歳):祭司長だが、戦好き?
使者:出番が少ない
巫女の長:エキゾティックな独唱あり
その他、大勢(司祭達、巫女達、奴隷達、民衆、囚人達)



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ヘルベルト・フォン・カラヤン 
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン楽友協会合唱団
合唱指揮:ラインホルト・シュミット

アイーダ:レナータ・テバルディ
ラダメス:カルロ・ベルゴンツィ
アムネリス:ジュリエッタ・シミオナート

アモナスロ:コーネル・マックニール
ランフィス:アーノルド・ヴァン・ミル
エジプト国王:フェルナンド・コレナ
使者:ピエロ・デ・パルマ
巫女の長:エウゲニア・ラッティ

録音:1959年9月
ウィーン、ゾフェインザール

今回4番目に聴いたCDです。
数年前に聴いた時は、再録音盤の完成度の高さから、もうこのCDは必要ないと思ったものですが、今回は素直に良い演奏と感じました。安心する、というか、ほっとするものがあります。カラヤンの指揮も、再録音よりも覇気や若々しさ、勢いや熱っぽさがありました。
歌手は往年の大歌手達をずらりと揃えて壮観ですが、いろいろ聴いた後では、例えばテバルディやベルゴンツィやは最高のアイーダでありラダメスであっただろうか、いや、思ったほどではなかったような、とか、いろいろ考えてしまいますが、このオペラの名盤としての地位は揺るぎのないものでしょう。



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ズービン・メータ
ローマ歌劇場合唱団及び管弦楽団
合唱指揮:ジャンニ・ラッザリ

アイーダ:ビルギット・ニルソン
ラダメス:フランコ・コレッリ
アムネリス:グレイス・バンブリー

アモナスロ:マリオ・セレーニ
ランフィス:ボナルド・ジャイオッティ
エジプト王:フェルッチョ・マッゾリ
使者:ピエロ・デ・パルマ
巫女の長:ミレッラ・フィオレンティーニ

1967年6月~8月
ローマ歌劇場

今回2番目に聴いた演奏です。
ズービン・メータの指揮が良いです。個人的には次のムーティよりも好きです。メータは、どのように演奏すれば聴衆が喜んでくれるか、よく理解していると思います。また、オケや合唱の扱いもよろしく、聴くたびに新しい発見があります。メータを見直しました。
歌手では、アイーダがビルギット・ニルソンですが、さすがに抜群の安定感で、重唱や合唱の場面でも埋もれずに存在感を示しています。アイーダがトゥーランドットになってしまったみたいな気もしないではありませんが。
アムネリスはグレイス・バンブリーで、カラヤン指揮の映像版「カルメン」に登場していた人です。こちらも、なんとなくカルメンを連想してしまうような……。
ラダメスのフランコ・コレッリは、歌い方に少し癖があって、ラダメスだと違和感があります。出世より恋人を選ぶ、世渡り下手の若い将軍という感じはよく出ているかも、です。



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リッカルド・ムーティ
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
イギリス軍音楽学校のトランペット奏者
コヴェント・ガーデン王立歌劇場合唱団
合唱指揮:ロベルト・ベナーリオ

アイーダ:モンセラート・カバリエ
ラダメス:プラシド・ドミンゴ
アムネリス:フィオレンツァ・コッソット

アモナスロ:ピエロ・カプッチッリ
ランフィス:ニコライ・ギャウロフ
エジプト国王:ルイジ・ローニ
使者:ニコラ・マリヌッチ
巫女の長:エスター・カサス

1974年7月
ロンドン、ウォルサムストウ・アッセンブリー・ホール

今回最初に聴いた演奏です。
実は他の指揮者のCDと間違えて聴いていました。聴きながら、やっぱり〇〇〇は、こういうところが下手だとか、いろいろ不満があったのですが、ムーティの指揮と判ったとたん、これはこれで説得力があると180度評価が変わりました。いいかげんなものです。でもやっぱり、この頃のムーティは、まだ若かったのだと思います。その一本気なところがこの演奏の魅力でもあるし、その後のムーティであればもう少しできたのではないかという不満にもなります。
歌手陣は理想(最強)の顔ぶれです。が、モンセラート・カバリエはフィオレンツァ・コッソットに負けているように感じられます。アイーダより目立つのがアムネリスなので仕方がないとも言えますが。
なんだかんだ言って、この録音はこのオペラの最高の演奏のひとつでしょうね。



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ヘルベルト・フォン・カラヤン
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン国立歌劇場合唱団
合唱指揮:ヴァルター・ハーゲン・グロル

アイーダ:ミレッラ・フレーニ
ラダメス:ホセ・カレーラス
アムネリス:アグネス・バルツァ

アモナスロ:ピエロ・カプッチッリ
ランフィス:ルッジェーロ・ライモンディ
エジプト国王:ジョセ・ヴァン・ダム
使者:トマス・モーザー
巫女の長:カーティア・リッチャレッリ

1978年5月
ウィーン、ムジークフェラインザール

今回3番目に聴いた演奏です。
数年前に聴き比べをしたときにはこの演奏がトップだったのです。今回もかなり期待して聴いたのですが、残念ながらあまり心を打ちません。なぜだろう。メータやムーティの若々しい演奏を聴いてしまった後だからでしょうか。カラヤンの指揮は余裕の手綱捌きでこの大作オペラをまとめ上げ、やや遅めのテンポも相まって、安定度が高いです。ただ、第3幕以降は歌手もオケも非常に美しく、繰り返し聴いてしまいました。「アイーダ」というと、第2幕第2場の「凱旋の場」が有名過ぎるくらい有名なのですが、第3幕以降を聴かせるという意味では、やっぱりさすがカラヤンと思いました。
ところで、そこ「凱旋の場」ですが、エジプト風トランペット(アイーダ・トランペット)という楽器が指定されています。この録音に先立ち、ウィーン・フィルはヤマハ(日本楽器)にアイーダ・トランペットを注文しました。この録音では。そのヤマハ製の楽器を、12(ヴェルディの指定は6)人のトランペット奏者が演奏しています。
歌手では、端役に至るまで万全の布陣ですが、ホセ・カレーラスのラダメスが素晴らしいです。今回一番好きなラダメスでした。アグネス・バルツァやミレッラ・フレーニによる美声のアイーダとアムネリスも素晴らしいのですが、フレーニというソプラノ・リリコが、リリコ・スピントに挑戦し始めた頃の録音で、無理して声を作っているような感じがしないでもありません。フレーニの声帯はだいじょうぶなんだろうかと要らぬ心配をしてしまいました。



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リッカルド・ムーティ
バイエルン国立管弦楽団
バイエルン国立歌劇場合唱団
合唱指揮:ヴォルフガング・バウムガルト

アイーダ:アンナ・トモワ=シントウ
ラダメス:プラシド・ドミンゴ
アムネリス:ブリギッテ・ファスベンダー

アモナスロ:ジークムント・ニムスゲルン
ランフィス:ロバート・ロイド
エジプト国王:ニコラウス・ヒルブランド
使者:ノーベルト・オルス
巫女の長:マリアンヌ・セイベル

1979年3月22日(ライヴ)
ミュンヘン、バイエルン国立歌劇場

今回5番目に聴いたCD。
これは熱いです。ムーティの指揮がエネルギッシュ。この頃のムーティは、このような熱い指揮をする人であったのかと、見直してしまったくらい。イタリアではなくドイツの歌劇場で、客演ということもあり、得意な「アイーダ」で聴衆を圧倒したかったのでしょう。
そしてこのCDは主役3人、特にアンナ・トモワ=シントウとブリギッテ・ファスベンダーが素晴らしいです。2人ともヴェルディのオペラにはあまり縁がないような感じがしますが、声の凄い威力と繊細かつ劇的な表現で、アイーダとアムネリスを見事に演じ切っています。
全盛期のプラシド・ドミンゴも頑張っているのですが、2人の女声歌手の印象が強いため、影が薄く感じられてしまうほどです。
その他の歌手では、アモナスロ役のジークムント・ニムスゲルンが良い声で、かっこいいアモナスロを演じていました。



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ロリン・マゼール
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団

アイーダ:マリア・キアーラ
ラダメス:ルチアーノ・パヴァロッティ
アムネリス:ゲーナ・ディミトローヴァ

アモナスロ:レオ・ヌッチ
ランフィス:パータ・ブルチュラーゼ
エジプト王:ルイジ・ローニ

1986年2月
ミラノ、スカラ座(?)

歌手の顔ぶれが豪華なので、一度聴いてみたいと思っているのですが、未入手です。参考盤として掲げておきたいと思います。素晴らしい演奏という予感がします。



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アントニオ・パッパーノ
ローマ聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団&合唱団
合唱指揮:チロ・ヴィスコ(?)

アイーダ:アニヤ・ハルテロス
ラダメス:ヨナス・カウフマン
アムネリス:エカテリーナ・セメンチュク

アモナスロ:リュドヴィク・テジエ
ランフィス:アーウィン・シュロット
エジプト国王:マルコ・スポッティ
使者:パオロ・ファナーレ
巫女の長:エレオノーレ・ブラット

2015年2月
ローマ、Sala Santa Cecilia, Auditorium Parco della Musica

今回最後に聴いたCDです。
指揮者のアントニオ・パッパーノをHMVで検索すると、145件ヒットします。多いのはヴェルディ、プッチーニ、ロッシーニですが、レパートリーが広いですね。ベートーヴェン以前はないようですけれど。この録音では、パッパーノの指揮が良いです。音楽の作り込みが実に丁寧で、洗練されています。「アイーダ」の録音にかけるパッパーノの意気込みが感じられ、少なくとも、録音、オケ、合唱に関しては過去の名盤に引けは取らないと思います。
しまし、歌手は、最良の布陣で臨んだのでしょうけれど、全体的にやや弱い感じがしました。水準以上ではあろうものの、どうしても物足りなさは否めません。
このセットはなんとCD3枚組(通常は2枚組)で、第1幕、第2幕、第3・4幕で3枚の構成になっています。
国内で、オペラの全曲録音の新譜が非常に少なくなった現在、もライヴ収録ではなくセッション録音で、しかも「アイーダ」のようなお金がかかる作品が発売されるなんて、ありがたいことだと思います。


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